燗粥酒 part 3

■呑録(旧暦2/21)
さんざんじらされた庄内のにごり酒がやっと届いた。
『鯉川 純米吟醸にごり酒<五百万石50%> 16BY 瓶燗火入れ』
「開栓当日だろうがなんだろうが、こりゃ、もう、飲むっきゃないでしょ」と、いそいそと持ち帰る。急いだら澱が下がらない。淡くにごっているものの喉の呼び声には勝てず、さっそく冷やでジュルジュル。
「おぉ、はや味が!?」。時々ピッと舌に当たる酸と後に残る苦が新酒であることを物語るけど、酒自体はまろやかで調和のとれた味わい。
いつもどおり醪の有無で二種類の燗をつけたが、前の二つ同様、醪が混ざるとうまみの濃さとまとまりが格段に良くなる。さらに、さすが純吟。きれいさで頭一つ抜きん出ている。
「どんなだ?」。杜氏さんの顔が浮かんだ。
ただでさえ詰めに手間のかかるにごりに、瓶燗火入れという余計な手間を付け加えさせてしまったが、この春の火入れにごり三酒の締めにふさわしい酒を拵えてくれた蔵元に感謝しなければならない。
じゃが芋・人参・玉葱・ブロッコリー・粗挽きウインナーのとろみ付煮物、ホッケの味噌漬け、またもやの茹でたブロッコリー、残りものの肉じゃがなど。
蕗味噌の苦みが米の旨みで溢れる口を引き締めてくれる。おかずをパクパク、酒をグビグビ。
純吟ゆえのきれいさにいくらでも飲めてしまう危ない酒。おかげで定量を過ごしてしまったようだ。
あげく、この酒もまた食を進める困った力があるようで、またもやご飯を食べてしまった。
これが続いたら、「鉄人にごり酒」と自ら命名した蔵元の体型に近づくのでは?
そんな怖い想像をしてしまった夜だった。:-)
[追記]


これで締めのはずが、思ってもみなかった第4弾到来。急遽追加公演決定。(^^;


延焼拡大?

GoogleアラートにCNET Japanの「Macをねらうスパイウェアやハイブリッド型ワームに注意」:米ガートナーが引っかかった。
先日も『対岸の火事ではない』で、Symantecによる警告を紹介したばかりだが、一度ついた火はなかなか消えないということか。


今回、US Gartnerが触れたSpywareこそ、VirusやWorm以上の厄介者。
今しがたGoogleで検索したら、日本語と英語のサイトだけでも409,000件がヒットした。
「今のところMacプラットフォームでは厄介なスパイウェアは存在しないに等しいが、今後はそうしたものが登場してくる可能性もある」ことは想像に難くない。
「脆弱性を悪用するスパイウェアがシステムの奥深くに潜り込み、検知も除去も難しくなることも考えられる」ことを考えれば、Anti Virusソフトのようにまたぞろイタチごっこにしろ、Spywareの監視や除去ソフトの登場が待たれるところだ。
文末の「Macではウイルスなどの悪質なコードによる攻撃などない、とは仮定しないことだ」は、完全に隔離されたPCならいざ知らず、インターネットにつながっていようがいまいが、他とファイル交換する可能性のあるすべてのPCが常にその脅威にさらされていることを肝に銘じろということ。
ユーザの一人一人が、その義務と責任において備えを怠ってはならない。
これを”Mac mini”や”iPod”のヒットがもたらしたとしたら、Macコミュニティは大きな歓びとともに、とんだ災難まで手にしてしまったのではないだろうか。


春の息吹、くぎ煮

■呑録(旧暦2/20)
『秋鹿 雄町80%精米無濾過原酒 2004 火入れ』
二週間ぶりの秋鹿の雄町だが、「あれれ、戻った?」。せっかく開いてきたのに、また引き籠もってしまったかのような印象。最近、飛び切り燗が続いたので10秒短く燗をつけたものの、印象は変わらず。後に苦が残る。が、「山廃か?」と思わせるような含み香、奥行きのある酸の出方。これはこれで十分に秋鹿らしさを楽しむことができる。
鮪赤身のヅケ、肉じゃが、牡蛎の豆乳鍋、残りものの茹でたブロッコリーと、くぎ煮二種(普通の味付けと山椒入り)など。
昨年、明石からいただいたお手製のくぎ煮(*1)。旬のイカナゴを生姜を利かせ、照りをつけて炊く。その見た目から名付けられたものだろうが、まさしく曲がり釘の集合体だった。酒の肴に良し、ご飯のおかずに良し、まさに春の風物詩。この時季ならではの味わいだったことが思い出される。
今年のくぎ煮はお江戸の知人からお裾分けに与ったもの。昨年より小振りで照りがない分、やわらかな口当たり。ちりめんじゃこのふりかけみたい。山椒入りは初めてだったが、控えめな山椒の香りが秋鹿と良く合う。生姜味と山椒入りを行ったり来たり。これだけで徳利1本は飲めてしまいそう。
買い置きの肉を始末しろとのお達しで、牛肉と玉葱を炒めたものが出てきた。酸のある秋鹿には、これや肉じゃががうまい。薄味の牡蛎の豆乳鍋はあっさりしすぎて酒に負けてしまう。プリプリとした牡蛎と熱い豆腐を味わったあとは野菜不足の解消に努めた夜だった。
*1:【イカナゴのくぎ煮】


イカナゴ(玉筋魚)やそのくぎ煮については、ここが詳しい。
また、発祥の地として神戸市垂水区役所のページにも紹介されているが、行政のサイトにレシピがあるのも珍しい。


これもまだまだ

■呑録(旧暦2/19)
『白影泉 山廃純米 山田錦5割5分磨き 14BY』
ラベルの左下に小さく「奥播磨」の文字が。そう、あの下村酒造店の昭和初期の(純米)ブランド。第二次大戦中の米不足で製造中止を余儀なくされ、昨秋、完全復刻版として再登場した酒銘だ。
原料米は山田錦、または雄町。仕込みは生もと系。長期(低温)熟成。
白影泉ブランドの復刻に当たり、蔵元が自らに課した条件がこれ。
かなり酷な評になった先回(2/18)から40日ほど経って、どう変わったか。その間、台所の放置酒の一番奥に常温でおかれていたのだが…。
冷やでは、生もと系特有の含み香と押し味に、かなり落ち着いたものの、まだ甘がまとわりついてくる。
これに飛び切り燗は合わないと、熱燗(50℃近辺)にするつもりが飛び切り燗近くまでいってしまった。かなり熱い。45℃ほどに下がると、ようやくまとまりを見るが、燗で締まったとはいえ甘みに感じる厚みは豊富。キレの良い涼やかな酒を好む向きには、もたつきと感じるかもしれない。
関西でいうところの「濃い酒」に当たるだろうか。
この分厚い味が熟成で枯れかけた時、この酒の本領が発揮されるはずだ。
それを楽しみに、残りはまたしばらく忘れられた存在となる。
文字にすると長く思えるが、きき酒のような飲み方をしても楽しいはずがない。
この日は、鮪赤身と鰹の刺身、豚ハツの塩コショー炒め、シメジと麩の卵とじ、茹でたブロッコリーと女池菜(?)。
鮪は役不足だが口直しには良い。タレで食べる鰹や味の濃い卵とじとなら、甘も苦にならなくなる。
食べては飲み、飲んでは食べ、仕上げにまたご飯を…。orz


退去命令が出る前に

■呑録(旧暦2/18)
この日は、端瓶整理の日になってしまった。
『杜氏の詩 特別純米酒』
お燗待ちの間の冷やジュルジュルにちょうど猪口一杯。まろやかという言葉が相応しい。
ここの酒は突出した癖・嫌味がないのが特徴か。良くいえば玉のような酒。
『天穏 純米吟醸 佐香錦』
 原料米:佐香錦 精米歩合:45%以下 アルコール分:15.5% 酵母:島根K-1
 日本酒度:+5.0 酸度:1.8 アミノ酸度;1.0
最初の燗酒。やっとまとまりを見せた。きれい。こういうのを「淡麗辛口」と云って欲しい。
『あんちっく杜氏の詩』+『楯の川 特別純米酒 平成5年醸造』
「あんちっく」は「杜氏の詩 特別純米酒」の5年古酒。飲める熟成酒だが、もう少し強さが欲しいか。量が少なかったのとパンチ不足を補うとために、もっと少なかった楯の川11年古酒を、ほぼ7:3にブレンドして仕上げの燗酒に。
やはり熟成酒の燗は和む。
ポテトサラダをパクパク、鶏ササミ・水菜・胡瓜のサラダも良いぞ、豚肉の生姜焼きが熱々でうまい。またご飯を食べてしまった。食欲の春!? orz


まだまだ硬い

■呑録(旧暦2/17)
『日置桜 生もと強力 H14BY』
持ち込んで燗付けを頼んだが、開栓直後でもあり、自分で燗をつける訳じゃないから適温が見つけにくい。
15℃において半年経ってこれ。いつまで待ったら直ぐに飲めるようになるのか。飲み頃が難しい酒だ。
先付け、鯛のアラと独活の椀、鰹・鮃・甘海老・蛸の刺身、鰆の西京焼・鰊の幽庵焼、蛍烏賊のフライ、飯蛸の炊き合わせなど。


傍迷惑

遠来の客人と一献交わそうと、いつもの店に『日置桜 生もと強力 14BY』を持ち込ませてもらった。
飛び切りに燗を付けてもらって冷ましながら飲んだが、苦が残り、飲み頃ははるか下の温度。しかも極めて狭い。常温に置いたとはいえ未開封。まだまだ練れ方が足りないようだ。
料理はいつもどおりまずまずの具合で進のだが…、せっかくの宵をぶち壊しにしてくれた輩が一人。
我々の後からやってきた彼は来店の仕方からしてにぎやかだったが、席について間もなく店内に鳴り響く無粋な着メロ。しかも、悪びれた風もなく堂々と席に座ったまま、電話の相手とやり取りをはじめるではないか。
しばらくして再び同じ音と光景が目の前で繰り返される。
怒りをこらえて、こちらはこちらで会話と食事を進めるが、馴染みの客とはいえ不快な行為を窘めようともしない店主にまで矛先が向いてしまう。
挙げ句、満席で多忙を極めていたとはいえ、いつまで経ってもご飯が出てこない。
たまにしか行かず、酒はいつも持ち込み。その上に燗付けまで頼む我が儘なおやぢが云えた義理ではないが、こちらもせっかく訪ねてもらった客人と良い時間を過ごしたくて、数多の店からここを選んだのだ。
我々客は、主やスタッフの人柄と供される飲食物が織りなす直接的な満足感と、そこで過ごすひとときの気持ち良さという間接的な満足感に対価を支払う。
それを思った時、残念ながらこの日は非常に不満が残る内容。この店に対する見方を変えなければならないかもしれない。
何より、時間がない中、わざわざおやぢを訪ねてくれた客人にただただ申し訳なく、お詫びのしようもないことになってしまったことが悔やまれる。


ご不満もありましょうが、澱の出た『清酒竹鶴 純米吟醸 12BY』で少しはそれを薄めていただければ幸いです。
次回はもう少しマシな店を見つけておきますから、これに懲りずまたお越しください。
行き届かずに本当に申し訳ありませんでした。m(__)m


燗粥酒 part 2

中国(≠China)とお江戸東部に唆されて手を出してしまった火入れのにごり第2弾。
『清酒竹鶴 純米にごり酒 16BY』。
手元の通常純米15BYが昨秋からやっと飲めるようになったことを考えると、「にごりとはいえ火入れの新酒がもう飲めるのだろうか?」という疑問は、いつもの冷や(常温)ジュルジュルで吹き飛んだ。
「おぉ〜、火入れなのに味がある!!」。おかしな表現だが、先の加藤杜氏といい石川杜氏といい、その手にかかった火入れ新酒が今から飲める酒になるはずがない。ご両人の澄み酒を見ていれば誰しもそう思うはずだから、これはうれしい裏切り行為だ。
残念ながら上澄みは後に苦が残る。これは致し方ないことだろう。如何せん若すぎるのだから。ただし、それが醪と混ざり合った途端、米の旨みをまとって一気呵成に攻め入ってくる。若さゆえの躍動。もっぱら練れた酒を好むおやぢでさえ、これも酒の楽しみ方の一つと思えてくるから不思議だ。
飛び切り燗まで上げ、飲み頃まで冷ます。いつもの手順で上澄みヴァージョン、にごりヴァージョン、二種の燗酒を。
この日の肴は、鮪赤身の刺身、焼餃子、茹でたホウレン草、水菜とワカメのサラダほか。
上澄みヴァージョンは竹鶴らしい旨みに変わった酸がドバッと押し寄せ、にごりヴァージョンはまさしく米の旨みたっぷりのお粥。ヨーグルトキャラメル様の香りがふっと鼻腔に戻ってくる。
旨みの多い酒に鮪赤身は役不足。口直しがせいぜいだったが、餃子の脂とニンニクの甘みをも包みこんでしまう力強さ。これならと、ホウレン草にはマヨネーズを。「くくく」。思わず笑ってしまう。ポテトサラダがあれば…。いやいや、それは危険だ。飲みすぎること間違いなしだから。
このにごりも米の飯を食べたくなる酒。一合半ほどの燗酒を2本空けた上に、鮭の味噌漬けをおかずにミニ丼といえるサイズの飯椀一杯を食べてしまった。
「毎晩、にごりを飲んでいたら、確実に太ってしまうだろうなぁ」。そう思いつつも間もなく来るであろう第3弾が待ち遠しいおやぢだった。


実は…にごり酒は得手ではない。
子どもの頃から甘酒はもっぱら酒粕仕立て。麹のものはあの米粒の感触だけで忌避していたし、長じて酒を飲むようになってからも、麹臭さともいえるにごり酒特有の米の風味が酒の味を損ねるように思い、ひたすら澄み酒のみを愛飲してきた。
『秋鹿 純米吟醸 霙もよう』に出会った時でさえ、こういう辛口ですっきりキレるにごりもたまには良いかと思いつつ、自分から手を出そうとはしなかった。
それが、part 1の『生もとのどぶ』、今回の『清酒竹鶴 純米にごり酒』で、いやはやこういう楽しみもあったのねと、目から鱗。
随分もったいないことをしてきたものだ。見過ごしてきたにごり酒、かむば〜っく!!


対岸の火事ではない

CNET Japanに『Macもついにハッカーの標的に–シマンテックが警鐘』という記事が掲載されている。
Windowsよりもマシとはいえ、うかうかできなくなってきていることも事実。
外界につなぐからにはそこで起こり得る事柄への対処は自己責任で、ということかと。
今さらながらだが、無頓着なままのユーザがこうした被害を拡散させる。
各々方、くれぐれも油断無きよう。


燗粥酒 part 1

せっかく届いたというのに、外飲みの日。無理を云って「秋鹿 千秋」を使ってもらったが、薬罐燗がいただけない。二次会でも不味酒を避けてビールに逃げたが、大手メーカーのビールだから、これまた翌日に持ち越す始末。
こういう日の翌日こそ、まっとうな酒に救いを求めなければと、前日から常温放置の…
『生もとのどぶ 瓶燗』
冷やで思いの外に味はあるものの、舌がギュッと窄まる感じがあり、明らかに若い。
これの上澄みと振って混ぜ合わせたもの、二種を用意し、先を越されたkanzakerakuenさんに倣って55℃燗に。
上澄みヴァージョンは適度な旨みと引き締まった味わいを、どぶ本領ヴァージョンはお粥に燗をつけたかと思わせる濃厚な米の旨みをビシバシと伝える。
「これが噂の生もとのどぶかぁ」。
加藤杜氏の生もとが今からこんなに味があるとは思いも寄らなかったが、先日、飲み損ねていたから、やっと口にすることができたぞ。
このまま秋まで常温においておきたいくらいだが、目敏い奴等が放っておかないだろうなぁ。
肴は、鮪赤身のヅケに、豚肉・豆腐・牛蒡・シメジ・長ネギの鍋(蕎麦つゆ味)、鰯の水煮、茹でたブロッコリー+麹ドレッシングなど。
加藤杜氏の酒はいずれも不思議に食が進むが、この酒も同様だった。それぞれ一合強ほどを飲みながら鍋をほぼ平らげたというのに、米の飯が欲しくなる。鍋の残りに丼一杯の冷や飯を入れおじやに。
3人前はあろうかという量を食べてしまい、満腹2乗。
前日の悲惨な出来事を拭い去るとともに、翌日のもっと悲惨な外飲みに向け、腹を据えた夜だった。


っていうか、腹がくちくて動けなかっただけかも。(^^;