仕事モード -其之肆- Episode 4

サンプルの4本目は…。
『某45%純(大?)吟 生原酒』
■冷やきき
後に苦があったとはいえ、開けたてから穏やかな吟香ときれいさが好印象だった。
それが、「45%でこんなに味があって良いの?」ってくらい、ふくよかな旨みを。
生臭も気にならず、無濾過生好きでなくても堪えられないはず。ウンマい!!
ま、値段も値段ですから…。(笑)
■燗きき
熱燗(50℃近辺)ほどから冷まして。
さらにボディに厚みが…。吟味もあり、旨みはたっぷりの二乗。:-)
45%ならではのきれいさも併せ持ち、実に分かりやすい。
生酒嫌いでもこれなら飲めるでしょ。
ただ、もう「売り切れました」そうな…。(苦笑)


献杯

800kmの彼方に思いを馳せ、上原先生を偲ぼうとした夜。
思いがけなく帰省した一番娘が抱えてきたのは、松阪牛と毛蟹。越後の山中からとは思えぬ土産なれど、これはもう万難を排して、お別れの酒を酌まねばなりますまい。:-)

『ひこ孫 純米吟醸 (2001.5詰)』

hikomago_jungin.jpg

先生を亡くされて一番気を落とされているのは、ひょっとしたら専務かもしれない。何で先生を送ろうか…と酒棚を眺めながら、ふとそう思った。
ならば…と選んだこれ。開けたてにもかかわらず、冷やでも練れ味がたっぷり。当然、飛び切り燗(55℃近辺)を超えるアチチ燗に。
さすが松坂のサーロイン。霜降りが苦手なおやぢでさえ手が出ます。
上品な脂ですが、山葵をのせてキレを演出。上燗(45℃近辺)ほどに冷めた“ひこ孫”が、脂をス〜ッと洗ってくれますよ。純米吟醸ならではのきれいさもしっかり。
先生、専務、ウンマいです!!

「危ないかも…」と心配顔で渡された毛蟹も、まだまだ大丈夫。一目散に味噌狙い。
と思いきや、横から箸を出す奴が…。優雅な連休を満喫している三番娘、相変わらず酒の肴に眼がありませぬ。まったく誰に似たことやら…。
てな訳で、ササッと“ひこ孫が終わり。次なる酒は…
『日置桜 生?強力 H14BY』
hioki_kimoto_goriki.jpgやはり、先生はじめ、煮酒さんに加藤杜氏、お三方との初めての出会いを取り持ってくれた、この縁結びの酒こそが相応しいかと。
こちらもアチチの煮酒にしましたが、まだまだ若いのか、上燗(45℃近辺)を下回った頃にやっと味が出始めます。
ホントの飲み頃はまだまだ先なのかもしれません。
まったくもっての困ったちゃん。
鰈の煮付けや車麩とニラの卵とじ、トマト・胡瓜・レタスのサラダもつまみながら、名残の酒が終わりました。
先生も彼の世で懐かしい方々と旨い純米酒を酌み交わしておられることでしょう。
いずれはそのお仲間に入れてくださいませ。(苦笑)
最後に今一度、【酒は純米 燗ならなお良し】合掌。


悲喜交々 -喜乃報-

まったく裏腹の2本の電話が…。
【2本目】
umishi_mura.jpg

「えらいお祝いをいただいて…」「えっ、もう着いたんですか!?」「えぇ、たった今」
久しぶりに聞く“海のもののふ”の、あの張りのある徳島弁が、人生の伴侶とめぐり逢えた幸せからか、いつも以上に弾んでいる。
先日のお江戸でのお披露目に使われた“神亀(ひこ孫?)の樽酒”が絶妙な飲み頃で、とてつもなく旨かったと。「あの○○さんが初めてだと眼を丸くしたほど」だったそうな。

uehara_2.jpg「その大吟醸なんて、ええんですかぁ!?」「ウチで寝ていた99.4詰のだから、奥さんに上手に燗をつけてもらって」「そうしますぅ、あっちのほうが詳しいですからぁ」
そう、何を隠そう、新婦は元某繁盛居酒屋の初代燗番娘。店に行くたびに我が儘云っては困らせたおやぢ。しかも昨年、ご母堂とともにわざわざ変人を訪ねてくださったことだし…。
そのお二人が結ばれるとあっては、とても他人事とは思えず、「何かお祝いを…」と遅ればせながらお祝いにお酒を贈らせていただいたのだ。
しかし、“海のもののふ”の魚と元“燗番娘”の酒。この二つが揃ったら、家飲みだけではもったいな〜い。鳴門に名店誕生も夢ではないですぞ!?
どうぞ末長くお幸せに。
強さと温かさを併せ持つ人柄そのままの声のおかげで、殺伐として仕事を義務的にこなすだけでいたおやぢに生気が戻ってきた。
酒の縁・人の縁、合縁奇縁のありがたさをまた噛みしめた日でありました。


悲喜交々 -非乃報-

まったく裏腹の2本の電話が…。
【1本目】
「上原先生のこと知ってます?」「いいえ、何かあったんですか?」胸騒ぎが…。
「昨夜、亡くなられました」愕然。
uehara_1.jpg初めてお目にかかったのは3年前の1月12日。場所は鳥取空港。鳥取の蔵巡りをするという某居酒屋の主と元燗番娘K嬢に同道を願ったら、山形からの帰りに立ち寄られたという先生がご一緒。
「儂も行くでな」とありがたいお言葉。
昼食を摂った店で「あんたにやるわい」と出版されてまもなくの“純米酒を極める”にサインを入れてくださった。
その後、“日置桜”山根酒造場で解説を交えながらの醸造指導。煮酒さんこと、がんこ酒屋の店長氏、生?の酒母と悪戦苦闘していた加藤現久保本家酒造杜氏との出会いもここだった。
その夜、煮酒さんがセッティングしてくださった移転前の“進”さんで、燗酒をおいしそうに召しあがりながら話してくださったことの数々。
翌日は“鷹勇”大谷酒造にもご一緒させていただき、坂本杜氏とご対面。仕込み室で枯らしてあった“蒸し”をご覧になり、「ちぃと柔いなぁ」と“波返し”を指示されたことも思い出の一コマ。
歳は喰っているもののまだまだ駆け出しの身ゆえ、お目にかかる機会は少なかったけど、いつもやさしく声をかけてくださった。その先生が逝かれた。2006年5月1日20:00。
まだ80歳。寂寥が胸を満たす。
が、先生が蒔かれた種は全国で実を結び、おやぢのような変人もそのおこぼれに与っています。これからも遺志を受け継いだ造り手・飲み手・売り手の語りの中で、また残された著書を通して生き続けていくことと思います。
今宵はお通夜。参じることは叶いませんが、上原組のお酒で先生を偲びます。
長い間ありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください。合掌。

■上原先生の横顔■

  • 蔵元交流会の“プロフィール”
  • 鳥取県酒造組合連合会の“コラム”
  • 上乃宮会の“上原語録”

  • 仕事モード -其之肆- Episode 3

    タイトルに使っている“肆”の文字は、はんなさんのblogで眼にしたもの。ちなみに…

    し【肆】シ・ほしいまま
     1)品物をならべた店。みせ。「書肆・茶肆・酒肆・薬肆」
     2)かってきまま。ほしいままにする。「放肆」
     3)数える時の「四」に代用する字。大字。「肆千参百円」

    『某55%純吟(+10のほう) 生原酒』
    ■冷やきき
    「ありゃま!?」開けたてと印象がまるで違う。数日、「酒がうまくないなぁ」と感じていたのだが、その時点ではまだベロ感が戻っていなかったのか。(-_-;
    吟味あり。きれい。+10とは思えないふくよかな旨み。さすが中汲みダス。
    しかし、この米でこの味。某蔵の酒でもっていた原料米のイメージが吹っ飛ぶ。
    ■燗きき
    熱燗(50℃近辺)と上燗(45℃近辺)の半ばほどから冷まして。
    生臭は若干あるものの、苦になるものではない。この温度がピタリかも。
    程良い吟味。きれい、かつうまい。ホントにこれで+10? 良いですわ、これ。
    あとは… 絶対に炭をかけないこと。(笑)
    mt_kugami.jpgアテは、鰹のタタキ。決して時季ではありませぬが、欲は云いますまい。(苦笑)
    万能葱をちらし、酢醤油とおろし生姜で。
    ぶつ切りの豚肉・ピーマン・椎茸・グリーンアスパラの串焼き。といっても直火で焼き上げられたものではなく、蒸し焼きに近いけど…。
    前夜から持ち越しの春キャベツ・人参・胡瓜・蕪の浅漬けで口を直しながら飲んでいたら、一合半ほどがあっという間に空に…。
    さて、次は何にしようかなぁ〜。
    『鯉川 純米吟醸“亀治好日”H15BY』
    ♪ブタ、ブタ、コブタ、こいつに決めた♪とレンジに入れた、まさにその時、電話が…。


    「もし、も〜し」とご機嫌な声はY会長。いつもの酔っぱコール。(笑)
    「今、替わりま〜す」「もし、もし」あらま、お蔵元!? しかも営業用の声。(笑)
    続いてはお店への出禁を免れた玉さんだ。グヤヂイ〜!!
    話ながら熱燗ほどに燗をつけた“亀治好日”を飲む。花なら満開の風情は、ひとえにここからの開栓放置の成果。「15BY、ウンマいよ〜!!」とせめてもの反撃を。(^^;
    きっと遅くまで続いたんでしょうな、都内某所の宴。:-)


    仕事モード -其之肆- Episode 2

    なんか訳の分からないタイトルになっていますが、G.ルーカスの“スターウォーズ“とは関係ありません。(^^;
    『某55%純吟(+4のほう) 生原酒』
    ■冷やきき
    1shuan040418_2.jpg開けたての感想は…
    「もう一つの55%より断然こっち。程良い吟香と練れ味。うまい」と“其之肆”の中ではもっとも気に入った酒。
    ますます味が豊かになった。が、悪くいうと「味が多すぎる」一歩手前。(^^;
    当然、キレもやや鈍く感じられるものの、味の素性は良いし、きれい。割水して製品にされれば、ふくよかな旨みを持ったまま、滑り・捌けの良い酒になるだろう。
    ■燗きき
    熱燗(50℃近辺)ほどから冷まして。
    生臭はあるけど、“Episode 1”ほど強くはない。味の多さが燗で締められ、旨み濃く、強い酒に変貌。きれいで、しかも飲み応えあり。つるっとお腹に収まりまする。
    2,000円後半(1800ml・税別)なら…。:-)
    アテは、豚冷しゃぶ。これは山葵醤油で。付け合わせのレタスをシャリショリ食べつつ、酒をグビリ。もうきき酒はしませんよ。ただ酒を楽しむだけ。
    鰹の漬け揚げ。もっちりというか、もっちゃりというか、よく分かんないだっちゃ。
    今イチ釈然としないままパクついておりましたが、意外やこれが酒に合う。(苦笑)
    春キャベツ・人参・胡瓜を使ったおかず(?)が二種。糸こんにゃくを混ぜて胡麻油と酢で味付けられたサラダ(?)。もう一つは蕪を加えた浅漬け。春キャベツの甘みと蕪の食感が心地良く、どちらも良い口直しに。
    わらびの醤油漬はたっぷりあるので当分楽しめますぞ。
    “其之肆”、まだ続きます。:-)