下々ならではの愉しみ

秋鹿■秋鹿 山田錦精米80% 無濾過火入原酒 2003年醸造
現在は堂々と “純米” を名乗っておりますが、当時は「精米歩合70%以下」という基準があったため、どこにも表記がないシーラカンス・ヴァージョン。(笑)

ちょっと欲張って取ったら、いつの間にか6年も経ってなお健在。(苦笑)
当初の溢れるようなうまみ・甘みは枯れたものの、原酒でありながら二千円台前半という手頃な値段で山田錦のきちんと熟成した味わいを知ることができまする。
しかも “秋鹿” らしい「酸はあるのにアミノ酸が少ない」という酒質のおかげで、80%とは思えぬ汚れの少なさ。
「このままでは重い」と感じたら水を足してやればいいですし、普段飲みの酒としてもってこい。かつ、財布にやさしいところが何ともうれしいですな♪

『呑めや喰らえ』の珍道中とは裏腹にすっかり痩せ細った財布ゆえ、アテも…

塩引き庄内からの帰路に立ち寄った村上の酒屋ならぬ、鮭屋さん。一切れ1,000円という切り身はまるで純米大吟醸を思わせる深窓のご令嬢。貧乏人には高嶺の花につき、そのお零れ、切り身を取った後の “中骨” を。
もっとも、高貴な方々はご存じなかりましょうが、魚の身は「骨の近くがうまい!!」は庶民の常識♪
これを焼いて、行儀悪く歯でこそげ落とせば、ホラホラ…
これまた発酵の恵みを受けた『塩引き』独特の風味に加え、ギュッと締まった身と脂。「一番ウンマ〜い!!」ところをさらにうまくしてくれるのは、きちんと発酵させたまっとうな酒にしかできない芸当でありましょうや。
一袋 630円也でできる贅沢も貧乏ならでは? (笑)

ちなみに食べ終わった骨をお椀に入れて、チンチンに沸いたお湯を注げば…
程好い塩っ気と中骨からの出汁にフワ〜ッと浮く脂。
「こんなに簡単にお吸い物ができてしまっていいのだろうか」と相成りまする。

しかし、とことん貧乏臭くもありますな。(爆)


東山道中膝栗毛 -其之陸-

「予定が一時間ほど早まりました」とのことで、“蒸し米” を見るべく『鯉川』を醸す鯉川酒造さんへお邪魔するも、蔵へ入ると放冷機がグズるというトラブルの真っ只中。
「じゃあ、先にお茶でも…」
と母屋のお座敷へご案内いただき、お内儀の点てたお茶をご馳走になったところでご当主は所用のため中座。

釜場@鯉川「しめしめ、この隙に」と掘出し物を狙うも、留守を預かる常務といい製造部長(*1)といいクソ真面目なお人柄ゆえ、アブナい奴等へのガードはガチガチに堅く、ジャブを繰り出す暇も与えてくれませぬ。(泣)

しかもこの日は「(初)添えと麹米だけでしたから」と手作業で粗熱を取られた “蒸し米” は既に仕事が施され、肝心の “蒸し” 加減を確かめることが叶わず。(大泣)
“釜場”・“米蔵”・“麹室” と案内してくださった常務から引き継いだ製造部長から、“初添え” の終わった大吟醸 “醪” ・“酛場(酒母室)”・“仕込室” を見ながら今季の概況を。

掲示板@鯉川人員が刷新された昨季から「滑りが良くなり、シャープになった」と感じている『鯉川』。特別純米でさえ「これ、吟醸?」と見紛う出来具合なれど、欲をいえば…
「もそっと香りを抑えてたもれ」(笑)
とはいえ、斯様な変人のぼやきは聞き流された方が「酒は売れる!! 」と思いますけどね。(爆)

蔵の一角、自蔵を取り上げた記事などが貼られている掲示板に、同道された狼亭さんの手になる “はがき絵” が…。

ご当主やお内儀はじめお蔵のみなさま、いつもながらたいへんお世話になりました。
無事に皆造を迎えられますようお祈りいたしまする。
ありがとうございました。

【つづく】
 


 
*1:製造部長
   鯉川さんは昨季(H19BY)から杜氏制を廃止し、蔵内で育成した高松製造部長が杜氏役を務めています。
   蔵人も皆若く、これからがますます楽しみ♪


iPhone 2.2.1

AppleからiPhone Firmwareの最新アップデータ、“iPhone 2.2.1” が公開されました。

iTunes 経由で行われる iPhone のソフトウェア・アップデートでは、標準のそれと違って、コメントがテキスト形式でないためにコピー&ペーストができませぬゆえ、スクリーン・ショット画像を以下に貼り付けまする。

iPhone 2.2.1


東山道中膝栗毛 -其之伍-

某女史同様、鶴岡のビジネスホテル泊のつもりでいたら、「せっかくですからうまい朝飯を」というご当主のお言葉に従い、此度もお世話になることに…。

朝食@余目ホテルそのオススメ、庄内での定宿となった感のある “余目ホテル” の朝食。
すべて地の食材、すべて手づくり。ごはんがピッカピカでしょ!?
運転さえなければ、即「ビール♪」、もしくは「鯉川の純米を熱燗で♪」となること請け合い。(笑)

朝からおいしいごはんをしっかりお代わりをした後のコーヒーがまたうまいのですよ。
「鯉川さんはエスプレッソがお好み」と若女将から伺いましたが、たっぷり飲みたかったのでブレンドを。
水のやわらかさが伝わってきますな。

実は…前夜もさんざん飲み食いして戻った後、「鯉川の純米を2本部屋へもらえますか?」と我が儘なお願いを。
前回、「純米でしたからぬる燗に」という若女将に「もう少し熱め、50℃ちょいの方がこの酒はおいしいですよ」と余計なお節介を焼いたのが効いたのか、此度はいい按配の燗に加え、心やさしき若女将は自家製の漬物まで添えてくれて…。

趣のある建物と若女将のおもてなしに「やはりここに泊まって良かった♪」とつくづく思う良心的な宿でありまする。

■余目ホテル
 山形県東田川郡庄内町余目字沢田114
 Phone. 0234-42-2442

【つづく】

当初は『余目ホテル支店』としてご紹介したものの…
以前は文字通り本店がありましたし、その本店が営業を休止された後も宿前の看板ともども『支店』を名乗っておられましたが、現在では紛らわしい支店という名称を外し、ただの『余目ホテル』とされたようですから、記事中の表記も訂正いたしました。


東山道中膝栗毛 -其之肆-

伊麦酒久しぶりに走った佐野藤岡IC〜郡山JCTなれども、やはり東北道は退屈。
その上、栃木県・福島県を走破するのにあんなに時間がかかるとは…。
新幹線並みのスピードがほしい、とつくづく思いましたな。

村田JCTから山形道へ入り、月山で少々降られたものの、寒の時期だというのに雪はないに等しいほど。給油してからはノンストップで余目駅近くまで直走るという時間短縮の甲斐あって、一部のキャンセル以降の日程に復帰した後は、車を乗り換えてさっき通った山形道近くへUターン。

さすがに喉が渇き、「取りビー」と相成りましたが、「生ビールは何だっけ?」「アサヒの熟撰です」「ダメですか?」にすんなり頷く素直なおやぢ。(笑)
変わって登場したのが、こちらのイタリアン・ビール。
とくれば…大方の予想どおり落ち着いた先はこちら♪

ある・けっちゃーのある・けメニューボード

ホスト役を務めてくださった鯉川酒造の佐藤社長ご夫妻の傍らには見慣れたサンシンの “かんすけ” が設えられ…。
「あれぇ〜、どうして場違いな酒が!?」と気づかれたあなた、かなり目敏いですなぁ。
それもそのはず、狼亭さんとの道行とホストご夫妻、そして庄内が誇るシェフとその手から生み出される料理に最大限の敬意を表し、取って置きを持参した次第。

■鯉川 純米吟醸 “亀治好日” H15BY
■睡龍 速醸純米 生詰(ひやひやおろし) H17BY

加えて…
■鯉川 純米大吟醸 “亀の尾” H18BY

料理を出す前に必ず酒の味をチェックするシェフ。さらに「これ、もらいますよ」と料理酒にも同じ酒を使いまする。
どうしてこれが他の料理人にできないんでしょ。
中でも酸味の際立つ “睡龍” を口にされた時は「料理を替えます」とまで。

さて、前置きはここまでにして、ここからは怒濤の「おいし〜いっ!!」料理と「ウンマ〜いっ!!」燗酒を♪
おかげで、「これだけは冷や酒で」と燗酒組に抗ってまでシェフが冷たい “睡龍” と合わせることを前提にアレンジしてくれた “メジマグロの冷製パスタ” の写真を撮り忘れ…。(爆)

狼亭さんのmixi日記からお借りして写真を追加したものの、これだけカラーバランスが違いまする。(汗)

里芋・鮃をサンドした岩魚の燻製・岩魚の卵メジマグロとトマトをトッピングした冷製パスタ
火の通し方が絶妙な鱈山伏豚(?)
自家製生ハム・雪菜海老・パスタ
パンがまたうまい♪肉々しい庄内牛
スイーツはどれに…ピンボケだったため代理でこちらを

 
漫画に描かれたイルージョンにはお目にかかれなかったものの、こちらの料理は極めて薄味。これみよがしなデコレーションや取って付けたような濃い味付けとは無縁です。
思うに、野菜や肉の生産者はもとより、海や山、そして水や空気まで、すべては庄内という土地がもたらす恵みへの畏敬。その素材の味わいを存分に引き出すことを何よりも第一義としているからでしょう。
その昔に祇園で出会った、ただの “大根の煮たん” で震えがきた、あの時の味の記憶がふと甦りました。

鯉川酒造の佐藤社長ご夫妻、そしてシェフやスタッフのみなさま、たいへんお世話になりました。
そして、ごちそうさまでした。

最後に。
お役所のたっての頼みで春からしばらくお江戸へ出向かれるようですが…
新知事が誕生したとはいえ、撤回はもう無理でしょうなぁ。

手に取るな やはり野におけ 蓮華草 -瓢水-

この句を杓子定規な羽前国お役人に捧げます。(爆)


魚喰い

先日、岩船の漁港で真鱈を眺めてきましたが、いい形なれどバカッ高でとても手が出ませぬ。それもこれも白子が美味なものとして飲食業界に広まったせいでしょうが、あの高騰ぶりはまた庶民の魚が減ったことを意味しますな。

昔からこの辺りで『タラ』といえば、スケソウダラ。もっともポピュラーな食べ方は煮付でしょうか。
一本ものを頭から尻尾まで丸ごと輪切りにして、肝やオスならば “だだみ” と呼ばれる白子、メスならば真子とともに煮付けるのですが、身を食べるなら尻尾、アテにするなら肝や子がウマウマなれど、もう一つ忘れてはならないものが頭。
鯛や鰤ほど身は多くないものの、目の周りやプルプルの皮をしゃぶるのは魚喰いなら決して放棄してはならぬ楽しみでありまする。頭は骨も軟らかいですから、一つ一つの部位毎にばらせば、ある意味 “解体ショー” ですな。(笑)

昨夜もそうして手と箸を駆使しての解体ショーを自演しつつ…

日置桜■日置桜 長期熟成純米 “山笑ふ” -其の弐-
定量にわずかに足りなかったけれど、開栓から10日余りで早、空っぽ。
前夜の薄酒責めで削がれた身体を内部からリハビリ♪

気温が低かったので多めに回したら、一般の飲食業界でいう二合ほどはちょっと熱くなりすぎなれど、冷ませば蜜のような甘みに締まりも加わり、リハビリにもってこいの滋味深さ。

烏賊と大根の煮付けや豚肉と青菜の炒め煮、牡蛎のベーコン巻、カレーコロッケなど、何でも受けとめる懐の広さは長期熟成酒ならではですな。

ちなみにこれ、『ダッシュ』なしの初期型 “其の弐” ♪ (笑)


東山道中膝栗毛 -其之参-

とかの@佐野東山道上野(こうずけ)国の厩橋(群馬県前橋市)を起点とした此度の道中は、新田の郡(群馬県太田市)から例幣使街道を北東に進むと下野(しもつけ)国の天明宿(栃木県佐野市)に至りまする。

ちょうど昼時。狼亭さんともども “麺喰い” の血が騒ぎ、青竹打ちで知られる 『佐野ラーメン』でも、と天明宿をググったら見つけたこちらのサイト【→A little report>日光例幣使街道めぐり歩き】と偶然同じ店での “昼ラー” と相成りました。

平日にも関わらず店の外には行列が…。
「この人数なら…」と高を括ったことがこの後のスケジュールにもたらした影響は思いの外に大きく、一部をキャンセルする羽目に…。

ご迷惑をおかけした方々にこの場を借りて謹んでお詫び申しあげまする。m(__)m (激汗)

佐野ラーメン@とかのてな訳で、ラーメン大盛り画像♪

スープの見た目からは薄味に思えたものの、一口すするとかなりしょっぱい。薄口醤油を使っているのか、はたまた醤油よりも塩が勝っているのか。
縮れ麺の食感はまずまずなれど、このしょっぱさが地元の基準だとしたら、下野国の民は塩分摂り過ぎになりはしまいか、と大きなお世話を…。

人の腹を満たした後は車にもたっぷりガソリンを詰めて、いざ東北道へ。

【つづく】


東山道中膝栗毛 -其之弐-

いよいよ弥次喜多道中の開始♪
上野国を出立点に選んだ理由はひとえに『群馬泉』を醸す島岡酒造さんへ伺うこと。

「今季の造りはどうですか?」
「例年に比べて(米が)溶けやすいみたい。そのせいか数値的には酸がやや高いけれど、感覚的にはそんなに出ているようには感じないですね」
専務からお話を伺った後、蔵へ入れていただくと…

蒸し場折しも蒸し上がりを迎えた “甑” からはもうもうと湯気が立ち上がり、“釜場” に独特の香りが充満しています。

続いて写真を撮ろうと思ったのですが、「なんてこった〜い」の電池切れ。
仕方なくカミさんからカメラを借りたものの、そのカメラは弥次喜多との道連れを拒んでまだお蔵に居残っておりまするゆえ、強制送還されてきたら写真を追加いたしまする。(汗) ← 中と下の2枚を追加♪

「溶けやすいからいつもよりちょっとだけ硬めに」という “蒸米” を専務から受け取り、即席の “ひねりもち” 作りを。
『群馬泉』さん独特の押せばしなり、離せば立ち所に元に戻る弾力を体感するには60%の方が向いているはずだけど、「今日のは若水の50%です」といわれただけあって、米粒が小さいながらも中は柔らかめの “蒸し” は相変らず。当然、口に入れてその弾力を味わっているところへ杜氏が…。
「おやっさん、新潟からの…」という専務の紹介につづき、「○○からか」とこちらの地名が杜氏の口から出てきたのには「えっ、ご存じでしたっけ」とびっくり。

専務が生まれる1年前からこの蔵に入っておられる杜氏は、「この酒を越後杜氏が!?」と不思議がられてもしょうがない小国(旧刈羽郡小国町・現長岡市)杜氏のお一人。
長年務めるこの蔵の酒を薄酒の地で扱う変人が出てくるとは思いも寄らぬことだったのか、放冷機から出てくる米を見やりながらも小さな声でボソボソとお国話をしてくださる。

種麹@群馬泉“麹室” に引き込まれた “蒸米” は均一に広げられて “もやし(種麹)” が振られ、“床揉み” が終わると布にくるまれ、しばしお休み。
隣の部屋でできあがりを待つ “麹” を見た後は、“酛場(酒母室)” へ移動。
「長過ぎるとあまり良くないといわれるけど、今季から蔵人さんたちの年齢を考え、酒母はすべて年内に立てた」という長期 “枯らし” 酒母はすっかり落ち着いているものの、
「元気のいい酵母だけが残るからか、醪後半になってからが強くて、却っていいことも」
とまるで加藤杜氏(久保本家酒造)の仕込む生酛のよう。

出麹@群馬泉“槽場” を見た後、“出麹” 場の前で待っていると「あはは、すっかりご存じで」と専務が取ってくれた “麹” はこれも50%の “若水” 。
噛むと一昨年の60%に比べるとやや甘みが薄いとはいえ、しっかり “破精込み” 、心地好い弾力がありまする。

“貯蔵庫” に移された今季の酒から専務に取ってもらった新酒をジュルジュル♪
「酸がやや高い」といわれたにも関わらず、当然渋いものの実にきれい。
「いいですね、これ」
前日の『つくし』さんで飲ませてもらった “初しぼり” といい、今年もいいお酒ができあがっていますから、『群馬泉』ファンならずとも、乞うご期待!!

「あ、そろそろ」
予定の時間を若干オーバーしてしまったため、後ろ髪を引かれつつ…。

専務はじめお蔵のみなさま、たいへんお世話になりました。
無事に皆造を迎えられますようお祈りいたしまする。
ありがとうございました。

【つづく】