吟ずる

巷では新酒!!新酒!!とけたたましいようなれど、相も変らずの古酒揃えにまたしても…。

「蔵にばかり閉じ籠っていると…」
と先日、その日の仕事を終えた専務から電話が…。
「あれ、すごいですね。冷蔵庫に入れてないのに7年経ったとは思えないほどきれいでしっかり」
「でしょ。でも、香り高く、酸の少ない吟醸が好きな最近の技術者には不評なんですよ」
「そりゃそうでしょ、彼らはいじり回すのが好きだから」
と水を向けると、もう止まりません。(笑)

曰く…

  • 上辺の体裁だけ取り繕って、打ち壊した時に「何だ、張りぼてじゃない!?」という吟醸を造ってもしょうがない。
    粉々に壊された小さなひと欠片までしっかり吟醸だという、削り出しの強さがあってこそ吟醸。
  • たぶん若水の方がお気に入りだと思いますけど、オーソドックスな型の方がそれがわかりやすいかと思って、敢えて山田の方を選びました。
  • ウチの吸水の数値を見て「これ、間違ってるんじゃない!?」といわれますよ。麹も全然違うし…。
  • 一応、これでも(鑑評会)出品酒だったんですけどね。(笑)

フルーティーといえば聞えはいいものの、悪し様に謂えば、安い香水と見紛うかのようなプンケバな香りとヨワヨワな酒母や勘違い酵母がもたらす甘残りで、冷蔵しても熟成に耐えない吟醸が跋扈する中、斯様な見識を持つ蔵元がどれほどいるでしょうや。

削り出しの真味
削り出しの真味
●群馬泉【別誂え】純米大吟醸H14BY生詰
冷蔵設備もない地下貯蔵とはいえ35%精米ですから、色みはうっすらと金色を帯びているものの、7年ものとは思えないほど。
「米の芯だけがきっちり熟すとこうなるのか」という味わいはどこまでもきれい。
燗をつけるとふんわりと甘さを感じさせつつ、凸も凹もない、まさしく玉(ぎょく)を思わせる味わいはこれぞ吟醸と呼ぶに相応しいもの。
7年の歳月が与えた熟成香と目がつんだ緻密な味わいは、どこをどう切っても削り出して造られた吟醸だけが持つ強さと品格に満ち、ただただ溜息が漏れるのみ。
「はぁ〜〜〜」
貧乏酒屋には分不相応なれど、歳夜の酒はこれで決まり!?!?

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