町屋の人形さま巡り

年度末、卒業や異動などで気忙しい弥生ですが、こちらで紹介している『町屋の人形さま巡り』に出かけて、しばし気分を和らげてはいかが?
kokonoe_en.jpg【見所其之壱】
北限の茶所としても知られる村上の老舗のお茶屋『九重園』さん。
ご覧のように見事な三連の雛飾りを眺めることができ、いつも大勢の方々が訪れるお店。
抹茶をいただくお座敷には、雛飾りの前に鉄砲まで。これも城下町村上ならではの光景でしょうか。
こちらの煎茶は後味に苦や渋がなく、甘いんですよ。お試しあれ。“初摘”の深い味わいは喫茶という楽しみを教えてくれるでしょう。おみやげにもぜひ。
九重園
村上市小国町3-16【地図
Tel. 0254-52-2036
masujin_gm.jpg【見所其之弐】
万人向きなのは先の『九重園』さんですが、おやぢ的其之壱は、ここ『益甚酒店』さんのおばあちゃん。
90歳を超えられながら矍鑠として多くの方々のお相手を務めてくださっていますが、このおばあちゃんのお話を伺わずして「人形さま巡りに行ってきた」などと云うことなかれ。おやぢなんぞ、このおばあちゃんにお目にかかりに行くようなもの。(^^;
tsuishu.jpgこちらは“江戸のご殿雛”という宮殿飾りの雛人形で知られますが、お座敷に置かれた数々の調度品もとくとご覧あれ。写真の角箪笥や上に飾られた盆。村上特産の漆工芸『堆朱』の見事なこと。角箪笥はほとんど橙色。確か100年を優に超えたものだったかと…。この色になるまで使い込んでこそ本当の漆器なんだ、と気づかせてもらえます。
脇の座卓に施された彫りやまだ深紅の漆もきれいなのですが、「それなんか、まだまだ子どもですよ」と。それでも2〜30年は経っているんですから、まったく気の遠くなる話ですな。
昔は造り酒屋さんでしたから、お座敷にあがる土間には木の“酒槽”も…。見るたびに欲しくなるのですが、さすがに譲ってもらえそうにありません。
■益甚酒店
村上市大町1-19【地図
Tel. 0254-53-2432
kikkawa.jpg【見所其之参】
“益甚酒店”のお隣、『味匠 喜っ川』さんは三面(みおもて)川で獲れる鮭だけでつくる“塩引き”や“酒びたし”など、あくまでも地元村上にこだわった伝統的食文化を伝えるお店として知られています。お店の奥には、年中、鮭が吊されており、その姿は圧巻。
『人形さま巡り』、実はここのご次男、真嗣氏がはじめた、たった一人の“町おこし”からスタートしたのです。
味匠 喜っ川
村上市大町1-20【地図
Tel. 0254-53-2213
この“おしゃぎり屋台”は毎年7月に行われる“村上大祭”に各町内が引き歩く屋台山車。
本物は“おしゃぎり会館”とも呼ばれる村上市郷土資料館に通年展示してあります。
かくいうワタクシメは、昨年に引き続き、今年も行けそうにありません。orz

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町屋の人形さま巡り” に対して6件のコメントがあります。

  1. まき子 より:

    90歳を超えられているんですか?!
    写真を見るだけでも元気なおばあちゃんですね〜。
    地元の特産品を大事に大事に扱って、
    その文化を大切にする・・・
    っていうことを、こんな所で垣間見えてしまいました。

  2. masamune より:

    >まき子さん
    古く見せる手は良く使われますが、時の流れを経たものだけが持つ質感は、やはり別物。
    小手先や上っ面だけを真似ても、底の浅さをさらけ出しちゃいますものね。
    秋の『町屋の屏風まつり』も良いですよ。:-)

  3. 村上には、十数年前に宿泊したことがあるんです。そのとき、たまたま、ふらっと寄ったのが村上堆朱のお店でした。
    初めて知ってびっくりしました。
    とても購入はできなかったですけど。
    塗り物は年月が経っても色褪せない、逆に魅力的になってゆくんですねえ。
    実家の祖母が地元の彫り物を習ってて、作品をたくさん残してゆきました。
    実家ではその作品を今も使っています。

  4. masamune より:

    >あひる@滋賀さん
    彫り物と塗りの合体。他の漆器と違う「堆朱」独特の世界ですよね。
    焼き物もですが、「育つ」ものの価値は短い人の一生では計り知れない。
    だから、代々守り継ぐことによって文化として後世にまで伝わってきたのでしょうが…。
    昨今のスクラップ&ビルドや安けりゃそれで良しで次々と買い替えているだけでは、
    な〜んにも伝わりませんな。
    彫り物をなさっていたおばあちゃま、素敵ですね。
    そして、それを大事に使われ続けておられるご実家のご家族も。:-)
    どんなものがお好きだったのかしら。

  5. お盆、茶びつが中心です。鏡も、掛けて今も使っています。
    岡山の、烏城(うじょう)彫りといいます。
    観光みやげ店などでは、超簡単な絵柄を手抜きしたような彫り方で、安く売っていました。(今は売ってもないかも)
    でも、祖母は趣味でしたから、そんな手抜きなどしていませんでした。青海波と刀の鍔などの凝った絵柄も彫っていました。
    祖母は、自分の形見のつもりで彫っていると言って笑っていました。だから、よく人にあげていました。
    4面、いっぱいに模様を下書きした小さな引き出しは、結局完成しないままです……。
    そんな彫り物を見ていたので、村上堆朱には驚きました。あれはすごい!

  6. masamune より:

    >あひるさん
    烏城って、岡山城のことだったんですか。存じあげませんでした。
    青海波は吉祥紋だそうですが、きちんと揃えるのはかなりの手間でしょ?
    きっとコツコツと仕上げておられたんでしょうね。
    漆器もいつの間にか分業制になってしまったようですが、中にはご自分で木地から手掛ける方も…。
    なんにせよ、人の手でものをつくり出すってことはすごいことだと思います。

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