いつ来るんかい? “大和編” -1-

甑置き遅れること1時間。勝手に裏木戸から蔵へ…。
「おはようございます!!」
案の定、この日の作業は既にはじまっておりました。X-)

白衣と帽子を着け、再び蔵へ入ると、釜場ではもうもうと湯気が立ち上る中、二人がかりでの “甑置き(*1)” がはじまります。
熱くないはずはないのですが、黙々と米を張る蔵人さん。もちろん、“抜(ぬけ)掛け(*2)”。


 
「遅かったやない」
暖気入れと声がする方を見やれば、親方(加藤杜氏)。
「一応、時間には外へ出てみたんやけど」
「すんません、渋滞で…(汗)」
「明日、必ず起きて、また見せてもらいますから」
「今、専務を起こしたさかい、良かったら酛の “暖気(だき)入れ(*3)” でも見とって」
で酛場へ。

手元がブレていて分かり難いでしょうが、親方の “暖気(だき)入れ” は二刀流です。
「これ、アル添の酒母やでよう分からんのやわ。純米なら簡単なんやけど」
とさすが純米馬鹿杜氏♪
「それなら新潟へ教わりに来たらいいですわ。何せ得意中の得意ですからぁ」
「そやね」(笑)

間もなく、ホントは社長なのに呼び名は “専務” のままのお蔵元とご対面。
母屋でお茶をごちそうになりながらしばし身体を休めていると、蒸し上がりタイム♪

甑取り揉み

蔵に近づいただけで “蒸米” の香りが匂ってきます。
1階の釜場ではスコップで “甑取り” をする人、取り易いように、そして最後まで米を無駄にしないように、米を寄せる人、蒸された米を、物によっては計量しながら運ぶ人、3人がかりで2階に上げられた “麹米” は2人でほぐしながら適温まで放冷し、“麹室” へ引き込まれます。これを室内で受け取る人が1人。今年もここ久保本家では親方と5人の蔵人、都合6人による仕込み。この顔ぶれで2年目。息の合った作業が黙々と進みます。

麹室“室” に引き込まれた “麹米” は “床” の上でさらに細かくほぐされます。すべての米に “もやし(種麹)” が均等に行き渡るようにするため、不可欠な作業ですな。

暑い “室” 内での作業に備え、薄着になった親方が腕を消毒しながら “室” 内へ入ると…
ドアがピシャリと閉ざされ、ガラス越しに中の様子を伺うしかありませぬ。
取材陣はここまで!!
となったところで、こちらは朝の燃料補給♪

【つづく】


 
*1:甑置き こしきおき
  水切りした白米(原料米)を甑の中に入れること。
*2:抜け掛け ぬけがけ
  甑から蒸気が上がりだしたら、少量の白米を甑の中に徐々に入れ、蒸気が吹抜けてきたら、
  吹抜けたところへ少量の米をかける。
  蒸気は抵抗の弱いところから抜けてくるので、そこへ白米を順次置いていく方法。抜掛け法。
  あべこべに先に白米を甑に全量張り込んでから蒸すやり方を “一時置き法” という。
*3:暖気入れ だきいれ
  湯を詰めた暖気樽を酒母中に入れて加温したり、暖気樽を動かして攪拌すること。
  暖気樽に詰める湯の温度、投入時間、動かし方、攪拌の程度が重要な条件となる。
  暖気操作。