年明けの便り2017

恒例となった木曾の佐藤阡朗さんの52回目となる『たらの芽通信』を拝借いたしまする。
 

人の美しさ

 
 人の笑みに逢うと気持ちが和む、赤ちゃんの瞳は、私をジーッと問い正す。
 創った物を館展審査の場で診てると随分といろんなことを勉強させられる。人は先ず以って自分の幸せの為に動き活きてゆく。殆どのひとは余程の(天の邪鬼)か(奇人)以外は自分の為に生きるであろう。しかし司馬遼太郎氏は晩年小学校五年生用教科書「廿一世紀に生きる君達へ」の文章の冒頭に「世のために尽くした人の一生ほど美しいものはない」と言っている。では自分のためだと美しくないのかと言う事になる。
 昔から城下町の通りの店では、早朝の掃除や雪掻きで、両隣の1間まで箒目を立て掃いたものだった。お互いの境目が一番綺麗だった。弟子や丁稚は出遅れを恥とした。日本人に遺伝子として組み込まれた何かが相手に負担を掛けない範囲での気遣いを伝統にしてきたのだろう。
 この国にはこのような「恩送り」の精神文化が生きている。自分の享けたり、授けたり、承けた幸せや恵みを感謝と共に次へ送る事を無意識にやってきた。
 これは自分の喜びとして自分のためにする事だから精進し合って回りを浄化するのだろう。無垢の行動でそうしていた時代からは、綺麗さしか生まれなかったに違いない。時代は人を作る、人が時代を創る。無意識で尽くしたいものだ。この一年、あの嬰児のつぶらな瞳に向き合える年にしたい。

 2017年 平成29年酉 1月

佐藤 阡朗

(原文のまま)
 
改めて、穏やかな一年でありますように!


年明けの便り2016

恒例となった木曾の佐藤阡朗さんの51回目となる『たらの芽通信』を拝借いたしまする。
 

民藝論と職人

 
 思わぬ出来事で日本民藝協会の専務理事という役目を2011年9月から実質に担うことに成って4年余りになった。柳宗悦の民藝論に殆んど無関心で漆の仕事に邁進してきた私は、この役目に未だ戸惑っている。
 この世に愛想を尽かして早大時代に世を去った兄の遺言を受けて、将来何の職があろうが、仕事を通して「産まれてきて良かった」と思える世界にしよう、と誓っての人生だった。
 美しさは不便と不均一の抵抗の中から生まれる。簡便と即席に浸かるこんにち、真の美から遠のくのは必然である。柳宗悦の求める浄土は私の求む美の浄土と重なる。だから漆の修業中、どれほどの先人の知恵と工夫と努力と謙虚さにこころ打たれてきた事か。また自然のめぐみに向いて感謝したことであろうか。私は民藝の理屈もその仏教哲学も知らないが、美しい世で生きたいし、未来にそんな美の世界を残して去りたいと思っている。
 柳宗悦が同じ世を思うなら、彼と私は同志である。ストイックに生き抜いた漆掻きの谷口吏さんや澤口滋さんの生涯を思うと痛く辛い。
 比べて私はユルく生きてきた。だから未だ生きている。昨今、凄いぞニッポンとテレビは採り上げる、人でもいいところを拾い上げられてはおしまいである。元々日本は世界最高に完成された美の国であった。
 協会のこの立場であと何が出来るか、少しは役立てるだろうか自信がない。

 2016年1月

佐藤 阡朗

(原文のまま)
 
改めて、穏やかな一年でありますように!


秋あがり

「秋あがり」とは、冬に寒造りしたお酒が春夏を越し秋になると、ほどよく熟成し酒質が向上していることを表現した言葉です。このお酒は冬にできあがった新酒を原酒のまま生詰・瓶貯蔵し蔵内の冷蔵庫で10ヶ月以上熟成させました。新酒や辛口のお酒に特有の荒々しさが消え、まろやかな深味を増し、飲み頃を迎えた「秋あがり」です。


その謳い文句通りに本当にあがっているかどうか、はてさて………。(笑)
 
ともあれ、来月登場する(10月2日到着予定)らしいのでご自身で確かめてくだされたく♪
ちなみに、2,500円/1800ml(税別)!

奥羽自慢純米吟醸辛口原酒秋あがり
奥羽自慢純米吟醸辛口原酒秋あがり


年明けの便り2014

恒例となった木曾の佐藤阡朗さんの49回目となる『たらの芽通信』を拝借いたしまする。
 

喜左衛門井戸のこと

 
 先ごろ、根津美術館で五十年振りに国宝大名物大井戸茶碗(本多)に出逢った。
 最初は学生の頃みたが、柳宗悦が「茶と美」で一見その良さが見えなかったと述懐してたのを読んだ時私にも薄汚いだけの雑器にしか見えなかったので、なにかホッとしたのだったがその後すぐに師は「無事」に気付き、私はついにその価値は見えなかった。
 南方熊楠(明治元年生れ)は奇行で知られる巨大な学者である。その彼が終生考え続けた自然の恵みとその環境の相互関係を曼荼羅で示し、螺旋の図形で描き生物の大宇宙観をしめしていた。
 また今から千二百年も以前に真言密教を修めた弘法大師(空海)は、宇宙の児としての我々人を含む命は全てそのままで仏身になれると説き、宇宙のコア(核)が「何者か」に気付いていたそうである。
 両氏とも膨大なエネルギーの運動に傷を付けず、人が自然の法則に同化し添う努力の大切さを強く我々に訴えていた。
 人のもち得ないエネルギーの大調和と、動きの流れの理で喜左衛門井戸が創られている。いや、生まれていると見えた。
 ケースの中のあのなんでもない茶碗は茶道の名物といわれる以前から十六世紀に渡来した高麗茶碗であった。口縁から竹節高台までの流れるリズムと力に無理はない。まさに「有理の美」を見せている。
 一瞬妙なる楽の音が聞こえる錯覚に陥った。

 2014年1月

漆工   佐藤 阡朗

(原文のまま)
 
改めて、穏やかな一年でありますように!
 
●件の茶碗についてはこちらで♪ → 喜左衛門井戸


年明けの便り2013

恒例となった木曾の佐藤阡朗さんの48回目となる『たらの芽通信』を拝借いたしまする。
 

古希を迎えて(国定高齢者)

 
 七十歳ぐらいでは今や稀ではないが、青少年時代にこの日の姿は全く想定外であった。
 先日小さな洋食屋のメニューに(ホットケーケーキ)が有った。早速等々力駅近くで生まれて初めて食べたのを思い出して注文した。田舎から出て二十歳の舌にはこの世の物とは思えない美味であったと記憶していた。
 運ばれたそれは違っていた。三枚重ねである、パンの中央が膨らまず平で、縁が厚く黄色が強く、マーガリンがすでに塗ってあって脇の蜜入れは蜂蜜であった。許せない!
 焼立てで、縁がうすく、太鼓の上の茶色の面で角のバターが熱さでスーと滑り始め、そこへメープルシロップを惜しげもなくしっかり流し掛け、下の段には滲むほどシロップが浸みていてこそホットケーキである。似て非なるものを食べる気はない。呆然と見た。
 今から二十年ほど前、田舎の兄が嫁にスイトン(田舎ではツメリ)を所望した。難なく彼女は作って出し、食した兄は「スイトンじゃない」といった、二人で兄の姉に頼んで翌日食べに行ったそうである。その後義姉は夫の頼みでのスイトンは絶対作ってやらなかったと聞いた。「思い出は作れない」のだそうだ。
 美味しさや、舌の感覚はその背景とともにある。五感は人生の本能記憶として刻み込まれその美感覚は消えないらしい。
 最初は最後につながる、職人の段取り手のリズムは本能に高まるから美しいのだ。最初の実感は巨大でしかももう抜けない。

 2013年平成25年1月

木曽 漆工   佐藤 阡朗

 
改めて、穏やかな一年でありますように!
今年もよろしくお願いいたします。


OEX

タイトルは飲み過ぎての「おえ〜っ」ではありませぬ。(汗)
Oyaji Expressの略♪
震災前に奇しくも同じ東北某市から2件のオーダーをお受けしていました。
 

3月17日(木)に開かれる職場の酒好きおじいちゃんの送別会に美味しいお酒を持参したいのですが…

3月21日(月・祝)に天穏の純米大吟醸を目玉にした春の酒の会を開きますので、興味のある方はどうぞご連絡ください

 
内1件は地震当日の発送だったため、ヤマト運輸から戻されてしまい、はてどうしたものやら?と。
ご両者に開催の有無を確かめたら、どちらも「予定どおりやります!!」というお返事が…。

ならば、話は簡単、ネコが行かないならおやぢが行きましょ♪
折しも計画停電が予定されていましたし、寒い家にいるよりは車の中の方が暖かいですから。

それに何よりも、お酒好きな先輩に飲んでいただきたいという後輩氏のやさしさとその大事なお酒のセレクトを委せてくださったことへの感謝。そして、いつも真っ直ぐな料理で地元の呑兵衛諸姉諸兄を惹きつけて止まないお店の会に採用していただいた主賓がいなくては、がっかりするであろうお客様のお顔と済まなそうなご主人の顔が容易に思い浮かんだからに他なりませぬ。

ご両者に悔いを残させないためなら、400kmほどの道程が苦になろう筈がありませぬ。
ついでにこんな寄り道も♪ (笑)

江戸時代からの雛人形
 
さ、さだこ!? (笑)


一般には公開されていないお雛様をじっくり拝める眼福のひと時でした。


便りのないのは良い便り

まずはご無沙汰多謝。m(__)m

さて、今季(H21BY)、まっとうなつくり手との縁を求めて薄酒の地から飛び立った若者が一人います。
辿り着いた先、因州で、ナント、地元のケーブルテレビの取材を受けたとか。
ご当主からその話だけは伺っていたのですが、先日、届いたお酒の中にかわいいらしい袋が一つ。
取り出したる真っ白なDVDをMacに飲み込ませたら…

ユメイロ
vol*77 蔵人
「わぁお〜!!」
放送された番組を「DVDに落として送ってやれ」と某先輩に唆されたらしく…
「いきなり麹師をまかせられて」
と赴く前に少々戸惑い気味だった彼のしっかり頑張っている様子を見ることができました。
ありがとうございました、さん♪

その上、おかげでご当主の初めてのご来訪が実現するかも♪

ちなみにその番組とは…
■ユメイロ
 趣旨:夢を追い一生懸命仕事に打ち込む「人」と、その職業について紹介する
 制作:NCN日本海ケーブルネットワーク
 放送:第1・第3土曜初回放送/第2・第4土曜再放送


お気に入り

奥の山の向こうは福島県
奥の山の向こうは福島県
●日置桜 鍛造にごり H20BY
渋〜くて苦み走っていた夏の面影は今何処!? ようやく…
「空け立てからいきなりウマウマですぜ」
とお伝えできるまでに育ってくれました。
冷やでもウマウマなれど、ターンテーブル上で2分50秒回ってもらえば…
ウマウマはさらにふくらみ、ズバズバ切れる後味に杯を置くのももどかしく、
空中給酒でグビグビ加速♪
またしてもダンディご当主に「してやられた!!」と。(笑)
残る問題は「いつまであるのやら」ですな。

さて、年内最後の休みは4週連続操業に備え、「まずはメンテ!!」ってところが如何にも年寄りなれど、強欲なのもまた年寄りならでは。
転んでもただでは起きませぬゆえ、またしてもあのパン屋さんまでひとっ走り♪
勇んで扉を開けたもののお目当ての…
「あれぇ〜、クロワッサンとミニバゲットは!?!?」
「すみません、今日は終わってしまって…」
とってもやさしい店主の乗岡さんが申し訳なさそうに謝ってくださいまする。
週末ならともかく、平日の、しかも先日よりも一時間ほど早いにも関わらず売り切れとは…恐れ入谷の鬼子母神。

村のパン屋さん
村のパン屋さん
焼き上ったばかりの食パンを尻目に…
「生地はミニバゲットと同じですから」
という田舎パンとチーズフランス、それにライ麦系を数種類いただき…
「こちらのパンは燗酒のアテにもなるんですよ」
「え〜、ワインやビールじゃなく、日本酒にも!?!?」
「もちろんお酒によりますけどね。良かったらお出かけください」
「ご近所においしい雑穀料理とコーヒーのお店もありますから」
とかなり強引な客引きを。(笑)
こんなにおいしいパンを作る方ならきっと、まっとうな酒にもすぐに馴染んでくださるでしょう。
みんなで拵えよう、まっとうな食の輪!! (爆)

てな訳で、blog掲載のお許しもいただいたのでご開帳♪


■麦麦ベイク -ばくばくべいく-
 新潟県柏崎市高柳町山中(塩沢)3673 〒945-1503
 Phone. 0257-41-3032
 07:00〜 → 焼き上り時間の目安
 火曜休み

より大きな地図で 麦麦ベイク を表示

出発ち

みんなのお顔も真っ赤っか
みんなのお顔も真っ赤っか

先日、アキバで液晶ディスプレイのインバーターを修理したばかりだというのに、今度はハードディスクが…。
自分で交換できるはずと探ったものの、この動画を見てあっさり…
「や〜めた!!」(笑)
てな訳で…
満身創痍になりかけている大福iMac 17″が本日、松戸辺りへ出発ちました。

行ったついでに遠征禁止を喰らっているおやぢの代理で、体操のおニイさんの事務所か柏のおでん屋さんへ営業かけてくれないかなぁ〜…なんて。(爆)

出発ちといえば、一人の蔵人が薄酒の地を離れ、先週から聖地(?)へ赴いておりまする。
『酒は純米、燗ならなお良し』
良く知られる故上原先生の言葉なれど、純米なら何でもいいというものでもありますまい。
残念ながら「これならまだあの本醸造の方が…」という純米もまだまだ多いですから。
売れそうだから?アル添が後ろめたい?
名前だけ、体裁を繕っただけの純米酒ではなく、
『米の酒』に相応しい健全、かつ完全醗酵させた純米酒造りをしっかり身につけてほしいもの。
彼の地の方々、どんどん厳しく、そしてよろしくお引回しのほどを。

来春、18BY以来となる越後の血が混じった酒の誕生が待遠しくもあり、怖くもあり…。
無事造りを終えたら、いの一番にその酒を見せてくだされ♪


もういいでしょう

家守もたいへんだわ
家守もたいへんだわ
今日の写真は、先月、八百屋に転業し損ねた時の一枚♪ (笑)

さて、最近はやたら天穏ばかり登場しておりまする。新杜氏就任祝いってことでもありませんけれど、たまたま気になるお酒が重なったってことで。
が、それも黄門様の「助さん、格さん、もう」というあのセリフが出てくる頃合い。
次に登場するのは…黒鶴か、はたまた日蓮酒か!?!?

●天穏 純米にごり “改良雄町七割” -7号酵母- H20BY
杜氏 長崎芳久 自作米 改良雄町』← このラベルも見納め?
冷やジュルで…
届いた時から混ぜた後よりも上澄みの方が飲める、というお酒でしたけれど、常温で一夏越しながらもお酒自体はまだまだ若いですな。
「もっと酸を!!」という唆しに乗った若き蔵人の冒険心につきあいつつ、きちんと天穏の味に仕上げてくれる長崎顧問(前杜氏)ならではの、きれい、かつ締まりのある味わいですから、そうそう簡単に飲み頃を迎えるとは思っていなかったとはいえ、かなりガンコです、これ。
飛び切り燗(55℃近辺)から冷ましつつ飲むと、キレます、キレます!! (笑)

茹でた烏賊とカキノモトをマヨネーズで和えて、天穏をグビり。
マヨネーズの諄さを少しも感じさせませぬ。
蒸したアスパラや人参も同様に試してみると、マヨネーズのあの余韻をスパスパ絶ち切ってくれますから、
マヨラーなら、さぞかしマヨネーズを減らしたことでしょう。(笑)

今日が蔵入りという新杜氏、21BYでどんなおチャケをつくってくれますやら。
楽しみにしておりますゆえ、気張るだけでなく、どうぞ無事に皆造を迎えられますように♪