こんなに味のある酒だったっけ

夜になっても気温は下がらず、体温に近い湿った空気がまとわりつく。巨大な胃袋に飲み込まれてしまったみたいで、深く息を吸う気にもなれない。体力も、気力も吸い尽くされてしまいそう。
こんな時こそ、燗酒〜、一発!! 🙂
『扶桑鶴 特別純米 H16BY』
拙blog"山陰の鶴"に書いたものの、線の細さが尾を引き、結局、「買い!!」とはならなかった特別純米。
あれから半年、原料米(麹米:佐香錦・掛米:神の舞)は同じだが、酵母が協会7号に替わった新酒を見ることに…。
「ん!? 味があるじゃない。何で?」。冷やで後に苦を感じるものの、きちんとボディが形成されている。7号酵母に替えた効果だろうか、酸も豊富で穏やかな含み香も好ましいものだ。難は熟度不足だけ。
はたまた16BYの造り全体がこうだったのだろうか…。その判断はもう少し後に。
鰹の刺身。独特の匂いはあるが、脂の乗った鰹をうまく食べさせる。鰊の塩焼き。鰊独特のエグ味が強調されるみたい。残り物の牛肉の佃煮。肉の風味を損なわない程度の味付け。揚げ茄子。茹でたブロッコリー。椎茸の傘にグラタン様の詰め物を盛ってフライにしたもの。出来合いだから、まぁ、こんなものか。
この酒、どちらかといえば、和の味付け向きかも。
熱燗(50℃近辺)超にして後の苦を消そうと試みる。予定より熱くなってしまったが、形が崩れることもなく、上燗(45℃近辺)〜ぬる燗(40℃近辺)で、豊かな酸が作り出す、しっかりしたうま味と、特純らしい滑りの良さを味わえる。
日置桜もそうだったが、「やっぱり好きなんだな、7号の酒が」と、あらためて感じた夜だった。


ただ、この価格帯(2,500円/1800ml・税別前後)は、鷹勇特別純米でさえ温和しく見えるほどライバル数多だから…。
癖というか、扶桑鶴でしか味わえないインパクトが加わると申し分ないのだが…。
三週連続操業の疲れか、やや不満ながら300ml一本で終わり。きき酒モードはイヤだ。orz

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こんなに味のある酒だったっけ” に対して13件のコメントがあります。

  1. まき子 より:

    和の味付け向きなお酒は大好きです。
    7号酵母ですね、ふむふむ、お勉強になります。
    でも暑いのに、御燗とはさすがです〜。
    私は昨日、ぬる燗を飲んで汗ダラダラになってしまったので
    その後は冷酒になっちゃいました。

  2. Masamune より:

    >まき子さん
    冷蔵庫で冷やした酒は、きき酒以外では飲まないんですよ。(^^;
    どんなに暑い季節でも、たとえ汗をかこうとも、酒を楽しむ時は燗酒ですね。
    ご存知だと思いますが、アルコールの吸収・消化・分解は、摂取した品温にかかわらず、それが体温と同じ温度にならないと始まりません。ですから、冷や酒を飲むと、体は自身のエネルギーを使って一所懸命に温め、それから吸収するため、酔うまでにタイムラグがあります。
    燗酒の場合は、ほとんどが体温以上ですから、飲みながらすぐに吸収が始まり、リアルタイムで酔っていくため、自分の酔い方を見ながら飲酒量を加減できるという利点があるのです。
    それと、まっとうな酒を燗で飲んでいる限り二日酔いがほとんどありません。
    対して、就寝間際まで冷や酒を飲むと、眠った後で、エネルギーを消費しての加温、吸収・消化・分解という一連の作業が休まずに行われるため、眠りが浅い、疲れが残る、ひいては完全に消化できずに二日酔いを引き起こすなど、体への負担が大きいのですよ。
    燗酒は、体にやさしくもあるのです。
    もう飲んだ量を自慢する歳でもありませんし、味が分からなくなっているのになおも飲まれても、酒がかわいそうですしね。
    春夏秋冬、適量を燗で嗜むことを習わしとしておりまする。:-)

  3. nizake より:

    米の出来にも関係するとみています。
    佐香錦がことしはあんまり良くないのですが、その分
    神の舞ががんばっているかなと。
    13BY以来ですね、こんな感じ。

  4. Masamune より:

    >nizakeさん
    あ、それは抜かしてしまっていました。ご教示ありがとうございます。
    今晩、佐香錦の純吟を見る予定ですので、その辺りも追試してみます。

  5. まき子 より:

    冷だとタイムラグ・・・
    確かに日本酒を飲み始めた時は、自分の酔い加減が分からず
    後から「ガツン!!」と着て痛い目を見たことが何度かありました。
    今はタイミングがなんとなく分かってきましたが
    やっぱりお燗は体にもやさしいのですね〜。
    自分のオヤジの言っていることは正しかったです!!

  6. Masamune より:

    >まき子さん
    それを称して「亀の甲より年の功」と。<お父上 (^^;

  7. Masamune より:

    >nizakeさん
    胴割れ、あるいは溶けやすい米だったのかも。
    純吟(佐香錦)も明らかに15BYより味が多い。山田錦の純吟(1800ml)にも同じ傾向が…。
    16BY全体に云えるのかなぁ、これ。

  8. nizake より:

    熟成はやや早めとみました。
    ただ、いつまでも開かないうちに売り切れよりはいいかも。

  9. Masamune より:

    >nizakeさん
    火入れを遅らせたか、貯蔵温度でも上げたんですかね。
    分かりやすくなったのは確かにありがたいけど…。また電話しなきゃ。

  10. とりしや より:

    扶桑鶴特純16BY先週入荷しました。15BY(佐香錦オンリー)と較べおっしゃる通りでした。
    とすると15を置いておいて先に16を売った方が良いんでしょうかね。

  11. Masamune より:

    >とりしやさん
    それはどうでしょ。16BYのあの味が熟成でどう変わるのか、見てみたい気もします。
    酸が落ち着いたら、化けるかもしれませんし…。
    個人的には、某鶴のようにBYを逆転させるほどのパワーは、あの15BYにないと思います。
    製造順どおりで良いのでは。

  12. とりしや より:

    ご指摘深謝。そうします。
    来年は某鶴を入れられるよう頑張りゃにゃあ。大阪でお会いした際にでもお願いしてみる積りです。しかし一軍入りが決まってる若桜を始め、一軍候補が少なくともあと半ダースほどあり。また増えてしまうっっ〜〜。

  13. Masamune より:

    >とりしやさん
    ホント、二軍に落とすのは忍びないものもありますからねぇ。
    でも、枠は決まっていて…。
    リストラ担当者の気持ちがよぉ〜く分かります。(-_-;

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