Mission Impossible -Episode-
まだ本編にも入らぬうちから、いきなり余話。:-)
もったいつけるな? お叱りはごもっとも。(苦笑)
外飲みでまっとうな燗酒がないとお悩みの諸兄・諸姉ならこの指令が、まさしく“Mission Impossible”であろうことがお分かりいただけると思う。
ましてや、ここは名にし負う薄酒・炭酒王国。かの坂口謹一郎博士の「さわりなく水のごとくに」を表面的な解釈だけで“淡麗辛口”に仕立てあげ、今も過去の妄執にどっぷりと浸かっている地だから、なおさらのこと。
もっとも坂口先生にも責任の一端はある。歌人でもあられたゆえの言い回しだろうが、万人に説くには「さわりなく玉のごとくに」としてくださったほうが、これほどの迷走を生まずにすんだものをと、思わずにいられない。
そう、「さわりなく水のごとくに」とは、「水のように味のない酒」ではなく、「香味に突出した箇所がなく、その調和のとれた様がまるで玉のようであり、口にしてから腹に収めるまでどこにも障るところがない酒」のことをいうのだから。
このことは、坂口先生からその著『日本の酒』を引き継いだ秋山裕一氏の著書、『日本酒』を読んでいただければ、自ずと解ることなのだが…。
閑話休題。なお、写真はこの記事の内容とは関係ありませぬ。:-p
ことほどさように、まっとうな酒を飲ませてくれる外飲みの、なんと少ないことか。
加えて、どこの温泉へ行っても図体ばかりやたらでかくて、キンキラキンの内装を施された宿ばかり。通り一遍か、あるいは慇懃無礼な接客と食材業者が納めた品を盛りつけただけの食事。たまに地のものと謳われていても手間を省いているのは見え見えで、しかも擬き調味料・化学調味料に頼った味付け。そのくせ、料金だけは人並み以上。
マスコミの手垢に染まったところは言うに及ばず、プンケバ酒のような華美な設備に頼ったり、これ見よがしに高級食材を並べ立てたりせずとも、真の「もてなし」を知り、お仕着せじゃない「くつろぎ」と「癒し」を与えてくれる宿もまた、まっとうな酒と同じくらい、お目にかかることが至難の業となってきた昨今。
その二つを同時にとなると、これはもう天文学的といえるほどの確率でしょうが、指令を受けたからには、たとえそれが一縷の望みでも、最後まで足掻いてみせましょうぞ。宿はとっておきの隠し宿にすがるとして、酒は…。迷惑だろうが、持ち込みしかないと腹を括って、女将に直談判。「一部屋だけ残っております」との返事に胸を撫で下ろした後は、“女は愛嬌、男は度胸”、その実、ただの厚顔無恥ぶりをいかんなく発揮し、「お酒を持ち込ませて」と。
かくしてお膳立ては整い、♪リズムうきうき 心ずきずき わくわく〜?と当日、梅雨空がぐずらないことと良い漁があることを祈っておりましたとさ。(笑)
確かに旅館で、食べ物と雰囲気と、あとお酒、
これが揃ってよいところって、なかなか無いですもんね・・・。
これからは、ペットボトル酒が手放せなさそうです。
もうちょっと大きいのを用意しなければ。。。
>まき子さん
造作や食材にはあれこれ蘊蓄をたれるくせに、どうして酒をきちんと選びませんかねぇ。
ペットボトル、まき子さんなら2リットルのが必要ですね。(笑)
あのようなお宿が現存しているということだけで
幸せな気持ちになりました。
でも、酒宴の楽しさは持ち込み酒があったからこそ。
全てに満足できる旅館、果たして存在するのでしょうか?
そう考えると、ほんとうに夢のような経験でした。
ありがとうございました!
>かずさん
あそこへ行くと“静けさ”もご馳走だと気づきますよね。
某Tankさんにお願いしてから行く、○国屋さんも期待を裏切らないかと。:-)