待てば海路の…

4年前といえば、やはり“9.11”だろうが、これが来たのはそれよりもう少し後。晩秋の声を聞いてからだったはず。
『秋鹿 山廃純米吟醸 無濾過火入原酒 2001醸造(H12BY)』
akishika_taue.jpg全量秋鹿自営田の山田錦で仕込まれ、届いてから最初の1年半は雪冷え(5℃近辺)の冷蔵で、その後の2年半は涼冷え(15℃近辺)に置かれた。ラベルに「山廢」と大書きされている純吟の火入原酒ヴァージョンだ。
杯に注ぐと小笹屋竹鶴番外編を思わせる色合い。奇しくもどちらも12BYだが、味は別物。
冷やで含むと、開けたてはかなりの酸っぱさを感じさせたが、アミノ酸を出さない秋鹿らしく、捌けの良さと後味のシャープなキレで締め括る。いくらでも飲めそうな予感が…。
「これだけ寝れば…」。飛び切り燗(55℃近辺)超から冷ます。
冷やで感じた酸っぱさがそのまま押し味に…。番外編のような濃醇な旨みはないが、引き締まったボディがもたらす旨みは十分。なおかつ捌けの良さはそのままに、キレにさらに磨きがかかったかのようだ。
そう、この味になってこその秋鹿だろう。
豚肉・豆腐・長葱・青梗菜・ニラ・シメジ・シラタキの鍋。青みばかりだなぁ、と思っていたら、下から鮭が顔を出した。「ありゃあ、また生臭い?」と思いきや、うまくバランスしており、旨みのしみ込んだ野菜をたっぷり摂取。
豚焼肉。やや甘めのタレで焼かれた豚の甘さや脂を酒がスパッと切り取ってくれるから、どんどん食べられる。
カキノモトの酢の物で口を直し、ほうれん草の胡麻和えも。
捌けが良いせいか、酒のピッチが速い。番外編がズーンと響くベースの魅力としたら、秋鹿山廃純吟は小気味の良いドラムスか。となると、アテはピアノ?
アテが繰り出すさまざまな旋律を確実に受け止めながら、時にはソロも取る。
Keith Jarrettの“Standards”を聴いているみたい、と最後は今のBGMにこじつけ。(笑)


これまた残り数本。ご多分に漏れず、やっと…と思う頃には無くなるんだよねぇ。orz

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待てば海路の…” に対して4件のコメントがあります。

  1. まき子 より:

    だいぶん寝かせた美味しそうなお酒は
    どちらかというと飛び切り燗から、冷めて行くのを楽しむ飲み方が良いのでしょうか?!
    竹鶴番外編、一晩でも空けられる大好きなお酒なのですが、この秋鹿もとっても美味しいんでしょうね〜〜。

  2. まき子 より:

    だいぶん寝かせたお酒というのは、やっぱり飛びきり燗から、冷めていくいのを楽しむ飲み方が良いのでしょうか?
    竹鶴番外編は、一晩で4合瓶が空いてしまうほど好きなので、この秋鹿も飲んでみた〜いです。

  3. まき子 より:

    ありゃ・・・重複してしまいました(汗)。二つ目、削除願います。ごめんなさい!

  4. Masamune より:

    >まき子さん
    ビミョウに違うからこのままにしておきます。(笑)
    その時間帯、ヘッダ(タイトル部)を修正してblog全体をRebuild(再構築)させていたため、
    サーバの反応が悪かったのかも。ごめんなさい。_(._.)_
    燗の温度は「これがベスト」と一概に云えません。
    煮酒さんが仰るように、煮てから冷ましていけばベストな温度が探りやすいのは確かですけど、
    若い酒を熱くすると、若返るだけで味がふくらまないなどのマイナス面も生じます。
    熱くしても良さそうな酒、いけない酒は、冷やの状態を見て判断しるしかないのですが、
    熟成に耐えたということは、それだけでもしっかり仕込まれた強い酒であるといえますから、
    少々いじめたところでへこたれないということにもなる訳です。
    石川杜氏@竹鶴の書かれた「間違いだらけの日本酒常識」をお持ちですか?
    なければ差しあげますから、メールでお知らせください。

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