棚卸し -1-
引越しのおかげで常温放置された端瓶に留まらず、涼冷え(15℃近辺)庫や雪冷え(5℃近辺)庫の肥やし、となっていたおチャケたちがどっさり山積みにされていますから、ここや別館には書かないものの、日々、あんな酒こんな酒を楽しませていただいておりまする。
最近飲んだ “奥播磨” の開栓放置生原酒は、生老ねを突き抜けた先にあるうまみを教えてくれましたし、昔日の名残で地元の酒とも久しぶりの対面を♪
■越乃かぎろひ 千寿 (01.06.11詰)
ここのは元来、変わる要素が少ない酒ですから、7年、内5年は涼冷え(15℃近辺)で貯蔵されていたにもかかわらず、色や香りに古酒らしさはありませぬ。酸も決して多くありませんから、無理に温度を上げず、熱燗(50℃近辺)までに留めた方が良さそう。
一応、2,000円台後半ゆえ、それなりにきれいですし、地味な中にも軽やかなうまみを持つ酒ではありまするが、先生や親には好かれても仲間内からは煙たがられる優等生のようで、ちと面白味に欠けますな。(笑)
とはいえ、この地の酒としては、この温度に置かれて、そしてこの年数を経ても崩れないのはさすが、といえまする。
ただ、外で見かけるとしたら、きっと冷した状態でしか出てこないのでしょうが、純米ならではのふくらみを味わおうとするなら、やはりきちんと燗をつけなくては♪
鰺のソテーとはそれなりに。付け合わせのアスパラガスやシメジのソテーとは野菜や茸の甘みを引き出してくれましたが、トマトのソテーの酸に敵うまでの強さは求めるのは無理なれど、晩酌の酒としては分を弁えた味わいと滑りの良さはありまする。この酒の取り柄はこの地味さにある、ともいえますな。
長月も半ばとなってようやく朝晩は涼しくなってきましたから…
毎夜せっせと棚卸しに励むことにいたしませう。(笑)