モノクローム・ドキュメンタリー

shinkame_jk.jpg先日、“物欲のすすめ -5-”で紹介した『闘う純米酒 -神亀ひこ孫物語-』がamazonから届いたので、さっそく読み進んでいく内に、文章が頭の中で単彩の映像となって次から次へと動き出していきます。
時には専務の照れたような顔とやさしい声が…。また時には怒声までが…。まるでその場に立ち合っているかのようで、こちらまで居住まいを正してしまうほどの現実感。
初めてお目にかかったのは、“神田新八”の二階で開かれた“神亀”の会の席上。「新潟にいながら飲める酒がないというバカな奴がいるんですけど、専務の酒を分けてやってください」と師匠に紹介された一週間後、JR蓮田駅に降り立っていました。地理に不案内なおやぢを乗せたタクシーの運転手が気を利かせてくれ、いきなり蔵の裏口へ。そこには蔵人と出荷の荷造りに励む専務の姿が…。
以来、数少ない機会ながら、いつも何かを教わることばかりです。
その一コマ、一コマまで思い出させてくれる、実に良くできた“神亀”、いや、専務ヒストリーといったほうがいいでしょうか。“神亀"ファンならずとも、心ある飲み手、それに下戸でも食やものづくりに興味のある方なら、ぜひご一読を!!
てな訳で、「今宵は“神亀”を呑むぞ♪」と一度は“ひこ孫 純米吟醸”に手を触れたものの、「贅沢は敵だ!!」と実入りに見合ったこれを…。(涙)
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神亀 米だけの酒“仙亀” (2003.2詰)
返す返すも“原酒版”がなくなったことが惜しまれる“仙亀”。
すいすいと呑めるのはいいとしても、もう一つ押し味・幅味に欠けるような…。まぁ、開け立てですから、もう少し我慢しなければ。当然、いつもの開栓放置。この冬は思いの外に暖かいから、早く開いてくれることに期待しましょ。
アテは、キムチ風味の鍋。豚の薄切り肉が申し訳程度に入っているだけで、たっぷりのシメジ・エリンギに長葱・白菜・豆腐、ととってもヘルシー。が、物足りないぞぉ〜。
出来合いの平たいクリームコロッケが1個。箸で細かく割って、チビチビと。茹でたほうれん草は、茎をメインに“松田のマヨネーズ風”で和えて。箸休めははりはり漬け。
TVドラマの“のだめ”、来週は早くも最終回なんですね。コミックスが原作の実写版には期待しないのが常なのですが、“のだめ”役の上野樹里がはまり役で、久々に楽しく見られるドラマになっているかと。
毎回、ガーシュウィンの“ラプソディ・イン・ブルー”が流れるエンディングまでが早い♪


この本、ホントは、酒類行政を司る財務省はじめ、農林水産省や厚生労働省、環境省、ひいては経済産業省、国土交通省、文部科学省など、この国の舵を取るお役人さんや、魑魅魍魎だらけの政治屋さんたちにこそ、読んで欲しい一冊かと。
加えて、日本酒造組合中央会や全農のお歴々方にも。:-)
ついでにいうと、依怙地な某物書き氏もこの著者くらいに謙虚だと、もっと多くの賛同を得られると思うのですけどねぇ。また一言多いか。(苦笑)
ちなみに、文中に登場する佐渡島出身の元杜氏は、神亀での一造りを終え、今季、因幡の某蔵へ赴いています。今頃、念願の生?仕込みに携わっているでしょうか。
専務のご本家といい、師匠のご本家といい、いずれも在新潟。“竹鶴”の石川杜氏が師事した原杜氏も越後杜氏の一人だし、今でこそアル添炭酒と揶揄されますが、“まっとうな酒”を生み出す血が脈々と流れ、しっかりと伝わっていくことを期待せずにはいられないのです。求む、新潟でまっとうな純米酒を醸す、あるいは醸そうとする蔵!!

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モノクローム・ドキュメンタリー” に対して10件のコメントがあります。

  1. れも より:

    私は、ひこ孫純米の燗を飲みながら本の世界に浸っていました。
    是非たくさんの方にこの本を読んでもらいたいです。

  2. おやぢ より:

    >れもさん
    あれこれいわれる方もありますが、軸がぶれない生き様はさすがですよね。
    ホント、日本酒ファンのみならず、少しでも多くの方に読んで欲しいもの。
    中学校の教科書にすればいいのに…とも。その前に先生に教え込むのが先か。(笑)

  3. まき子 より:

    まさにそういう人達こそ読むべき本なのでしょうね。
    どれだけの人達がそれに気付いてくれるのか・・・
    まだ読んでないですが、楽しみです!

  4. おやぢ より:

    >まき子さん
    これ読むと、お酒の一滴一滴がさらに貴重なものに思えてくるかも。
    まだお酒を飲めない世代に読ませても、歴史や文化、食と農、ものづくりなど
    いろいろな種が蒔かれそうですよ。

  5. ちゃむ より:

    色々考えさせられました。
    繰り返し読みたい作品です。
    いつの世も先駆者は孤独なものなのだなぁと思ったり。
    佐渡島出身の元杜氏はそういう状況なのですかぁ。
    その方が新潟に戻って、
    まっとうな純米酒を醸してくれたら応援したいものです。
    本書を読み「真穂人」、「小鳥のさえずり」などを呑んで、
    いい気分になってたら、気付いた時には「のだめ」
    が終了間近になってました・・・orz

  6. おやぢ より:

    >ちゃむさん
    文中に「変人」という文言が出てくる度に苦笑していました。(^^;
    彼の方はご自分で…というお考えもお持ちですが、
    蔵を営むのが如何にたいへんか、お分かりになったでしょ?
    “小鳥のさえずり”が呑めるなんて、羨ましいです。
    年夜用に“純米吟醸”でも開栓しようかなぁ。
    残り一本の純米大吟醸は誰の手に?(笑)

  7. りえぞ より:

     ひこ孫で酔ってきたら読みながら涙がド〜ド〜出て
    しまいました。
     2度ほど蔵でお逢いできたのですが、本当にそのときの声や
    振る舞いがよみがえってきました。色々あると思うのですが、
    私たち夫婦にとっては理屈抜きに尊敬できる人です。
     小川原専務に逢ったことが、確かな大きな転機でした。
     勝手に恩人だとも思っています。
     でもあんまりそういうこと言われるのも、
    好きじゃなさそうだなあ…(苦笑

  8. おやぢ より:

    >りえぞさん
    お酒だけを見るのではなく、その根っこから見ておられますから、
    食の問題、農の問題、業界の問題、広く慮っておられるのでしょう。
    お歳より老けて見えますもの。あ、内緒ですよ。(笑)

  9. tenor より:

    先ほどAMAZONから「闘う純米酒」届きましたー。
    ハードカバーを買ったのは久しぶりです。
    ちょうど昨晩「神亀純米大吟醸99」を開栓しました。
    いわゆる巷の大吟醸とはまったく異なるテイスト・・・。
    期待を裏切らない衝撃のデビューでした。
    これからの経過が愉しみです。

  10. おやぢ より:

    >tenorさん
    おぉ、ここにもポチ組が…。ご利用は計画的に♪
    とうとう開けましたか。ちょうど年末か年明け頃になると、
    「神亀が大吟醸を造るとこうなる」という妙味をご堪能いただけるかと。
    ただし、飲み過ぎに注意!! (笑)

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