春の息吹、くぎ煮
■呑録(旧暦2/20)
『秋鹿 雄町80%精米無濾過原酒 2004 火入れ』
二週間ぶりの秋鹿の雄町だが、「あれれ、戻った?」。せっかく開いてきたのに、また引き籠もってしまったかのような印象。最近、飛び切り燗が続いたので10秒短く燗をつけたものの、印象は変わらず。後に苦が残る。が、「山廃か?」と思わせるような含み香、奥行きのある酸の出方。これはこれで十分に秋鹿らしさを楽しむことができる。
鮪赤身のヅケ、肉じゃが、牡蛎の豆乳鍋、残りものの茹でたブロッコリーと、くぎ煮二種(普通の味付けと山椒入り)など。
昨年、明石からいただいたお手製のくぎ煮(*1)。旬のイカナゴを生姜を利かせ、照りをつけて炊く。その見た目から名付けられたものだろうが、まさしく曲がり釘の集合体だった。酒の肴に良し、ご飯のおかずに良し、まさに春の風物詩。この時季ならではの味わいだったことが思い出される。
今年のくぎ煮はお江戸の知人からお裾分けに与ったもの。昨年より小振りで照りがない分、やわらかな口当たり。ちりめんじゃこのふりかけみたい。山椒入りは初めてだったが、控えめな山椒の香りが秋鹿と良く合う。生姜味と山椒入りを行ったり来たり。これだけで徳利1本は飲めてしまいそう。
買い置きの肉を始末しろとのお達しで、牛肉と玉葱を炒めたものが出てきた。酸のある秋鹿には、これや肉じゃががうまい。薄味の牡蛎の豆乳鍋はあっさりしすぎて酒に負けてしまう。プリプリとした牡蛎と熱い豆腐を味わったあとは野菜不足の解消に努めた夜だった。
*1:【イカナゴのくぎ煮】
イカナゴ(玉筋魚)やそのくぎ煮については、ここが詳しい。
また、発祥の地として神戸市垂水区役所のページにも紹介されているが、行政のサイトにレシピがあるのも珍しい。