定番の実力 -乙酉葉月乃参-

東北が揺れた日、娘一合帰京。あちらからの足が止まっていたから東京駅も空いていたかも。
また静かな日々がはじまる… はずが、帰ったら娘二合がギネスを飲んでいた。まだこいつがいたか。天下御免のプー子。orz
『羽前白梅 純米 尾浦城 H15BY』
「秋鹿の雄町のような酸」と評したのは、nizakeさんだったか。庄内の一般米『どまんなか』と協会9合酵母で醸されたこの酒、1月からの常温熟成で、その特徴ある酸がさらに際立ってきた。「味が乗ると、こうなるのか」。羽前白梅らしいキレの良さを受け継ぎながら、上のクラスにはない図太さも。「これが2,000円(1800ml・税別)なんだもんなぁ」。名前だけの薄酒はますます影まで薄くなる。
意地悪く飛び切り燗(55℃近辺)超にしてから冷ました。「これだけ酸があれば…」と思ったからだが、実に良い。余分な贅肉が削ぎ落とされ、豊かな酸に締まりが加わる。ボディビルダーの作られた筋肉ではなく、仕事の中で鍛えられた筋肉質の体躯。
フレンチの下地がありながら居酒屋に転じた店主が、この味に惚れ込み、定番メニューに加えただけのことはある。
豚冷しゃぶと添えられた千本胡瓜を山葵醤油で。地の胡瓜から立ち上がる香りが食欲を揺り起こす。
メンチカツ。うぅ〜、挽肉よりつなぎが多い。ダメだ、こりゃ。箸をつけた手前、醤油をかけ回して一つだけおつきあい。
南瓜・若布・車麩の煮物。若布はちょっと甘めだけど、煮汁をたっぷり吸い込んだ車麩がうまい。体が草臥れている時には、こういう汁物のやさしい味がうれしい。
残り物の鮭の香味焼も一口。茄子漬で口を直しながら、行ったり来たり。
『奥播磨 純米吟醸 スタンダード』
酒が終わったので、昨日の残りの燗冷ましを。これまた余計な味を削ぎ落としたかのようで、純吟らしい品の良さを残しつつ、滑るように喉を過ぎる。
「ふ〜、あと一日か」。いつの間にか子の刻になっていた。

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