時間旅行 -5-
第5話は、鯨。鶏や豚、牛ではなく鯨が登場するところが如何にも…。
しかし、IWC(International Whaling Commission:国際捕鯨委員会)が何といおうが、グリーンピースがどう騒ごうが、捕鯨も日本の文化です♪
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第三 鯨
一匹の大鯨、沖中に浮びいでて、空高く、海水を吹き上ぐ。其の時、
舟を、八方よりこぎ寄せて、ひしひしと取り巻き、漁夫は、手に手に、
もりをうちふり、鯨を目がけて、右よりも、左よりも、なげつく。
鯨、傷を受けて、いたさに、身をもがけば、
もりは、益々身にくい入りて、深手となり、
あたりの海の水、見る見る、一面に、血の色となる。
鯨は苦しみて、荒れまわり、果ては、たえかねて、七てん八とうす。
大波、山の如く巻きかえり、小舟は木の葉の如くにただよう。
漁夫は、たくみに、舟を乗りまわして、追いかけ
追いかけ、もりをなげて、荒るる鯨をしとめんとす。されど、なお、
時として、はね飛ばされ、舟もくだけ、人も死ぬることあり。
そのうちに、さしもの鯨も、おいおいに、力疲れて、動かずなる。
其の時、ひしひしと、縄にて、しばり、大勢にて、海辺に引き寄するなり。
かくばかり勇ましき漁猟は無し。
鯨は、我が国の四海、何れの海にも居れど、ことに、九州の肥前、
及び、北海道の海べに多し。
め鯨(*1)が、子を育つる時には、かたかたのひれにて、子鯨を抱き、
他のひれにて、水をかき、頭をならべて、泳ぎまわる。鯨は、
情深きものと見ゆ。子鯨、若し、捕えらるるときは、親鯨かなしみて、
久しく、其のあたりを去らず。
めお(*2)の鯨の中、其の一ぴきの捕えらるる時もまた然りという。
*1:め鯨…雌鯨 *2:めお…女夫・夫婦
これって、国語・・・の教科書なんですよね?!
国語兼社会の教科書みたいです〜。
文化の鯨捕りもこの頃は命がけだったんですね・・・
To まき子さん
社会ばかりか、理科や道徳(昔はあった(^^;)の教科書としても使える項目も。:-)
命がけだったにしろ、日本人ほど鯨を余すところなく使い切る民族はいないのでは?
文楽の人形もこれがあってこそ、といわれた鯨の髭はどうしているんでしょうね。