数値でみるな ベロできけ

sidaizumi_kamaba.jpg「櫂で潰すな 麹で溶かせ」
1911(明治44)年に嘉儀金一郎という人が考案したとされる生もと造りで、今も語り継がれる言葉ですが、同様にスペックばかりにとらわれ、自らの官能を磨くことを疎かにする向きが多いことも事実でしょう。
日本酒をどんなに分析しても分析しきれない成分が多々あるというのに、代表的な分析値だけで分かったように思うことこそ、とんでもない勘違いのはじまりだと思うのです。
たとえば…
原料米:広島県産八反35号・精米歩合:50%・酵母:協会14号(蔵内自家培養)
アルコール分:18%台・日本酒度:+6.0・酸度:2.2
杜氏:南部杜氏・平成14酒造年度醸造
さあ、このお酒の味を想像してみてください。:-)
sidaizumi_moto.jpgまず冷やで。
色は熟成色を帯び、香りにもそれがあらわれているが、吟醸香は穏やかなほう。
口に含むと、14号にしてはたっぷりの酸と厚みのある味。アルコール度数の高さも手伝っているだろうが、この辺りは南部杜氏らしいといえなくもないか。
欲をいえば、後のキレが乏しい。長い余韻といえば聞こえは良いけど、後味がもたついて、だら〜っといつまでも残る。
それはともかく…
どうして八反なの?どうして14号なの?どうして南部杜氏なの?
どれもチグハグで、まとまりの悪さを「迷い?」と思ってしまうことも確か。
飛び切り燗(55℃近辺)から冷ます。
やせ細ることなく豊かなうまみはそのまま。蒸し餃子、鰹の焼漬け、ホッケの干物。
癖のあるアテも無難にこなす。が…。
冷やで感じたキレの鈍さは相変わらずで、舌にいつまでも残る後味が気になる。
気楽に飲めば「こんなものだろう」ですませられる程度かもしれないが、きちんとキレる酒に慣れ親しむと最後の最後で「立つ鳥跡を濁す」を見過ごせなくなってしまう。
こんなのスペックだけ見ていたのでは絶対分かりませんよね。
自分で扱う酒を飲みもせずに売ろうとする酒屋さんや、頭でっかちになったマニアに…
明解、かつ絶対の一言を捧げます。(笑)
呑めば分かる!!


ちなみにこのお酒は…
『志太泉 純米吟醸原酒 八反35号 H14BY』
練れ味もあるし、3,000円/1800ml(税別)なら、悪くはないんですよ。
こんな酒もあることを試したい方はチャレンジしてみてください。(笑)

コメント

  1. 三平 より:

    ほ〜、志太泉ですか。珍しいですね。
    あたしは、ここしばらく飲んでいません。

  2. 狼亭 より:

    日々、まっとうな純米燗酒を食中酒として呑んでいると、ウンマイと思い満足感に満たされます。
    が、締めに弊亭定番の「生もと純米」燗酒を呑むと、えもいわれぬ絶妙な酸によるキレに、前に呑んだ純米燗酒が物足りなく感じてしまいます。
    困ったものです。

  3. Masamune より:

    >三平さん
    “珍しい"ではまずいのですが、なかなか手が出なくて…。
    まだ静岡酵母の純米吟醸、純米大吟もありまする。誰か手伝って〜!! (^^;

  4. Masamune より:

    >狼亭さん
    絶対的なベンチマークをお持ちになるがゆえの悩みですね。でも、それって…
    贅沢者〜!!
    あ、云っちゃった…。(爆)

  5. Tank より:

    あーっ、そういうことでしたか。
    mixiへ書き込まれた意味が分かりました。
    「酒は利くもんじゃない、飲むもんだ。」と
    おっしゃったのは、故伊藤杜氏。(Big 7)
    深い言葉ですよね。

  6. Masamune より:

    >Tankさん
    いちいちデータとにらめっこして飲んでもおいしくないし、
    ホントはきき酒もしたくないんですけど…
    これをしないとお金をもらえませんからねぇ。
    「明日のために」と思って致し方なく…。(苦笑)
    早く故伊藤杜氏のお言葉どおりになりた〜い!!
    って、最初の一杯以外はいつもやっていることか。(笑)

  7. れい より:

    うな〜
    だめっぽーうちの蔵は。
    杜氏は居るものの
    仕込配合や仕込時の管理温度は社長が決めている。
    モロミはすべて品温だけで調整し
    数値だけの管理です。
    レギュラークラスのお酒は出荷予定予定だけで
    調整され、
    真剣に向き合った麹や酒母はモロミ段階で
    ごく普通の日本酒に成り下がった風があります。
    小さな造り酒屋なのですが、採算を追った造りのため
    鑑評会で金賞を取る酒造りで、
    その他の酒は蔑。
    けして個性的な酒は要求されていません。
    こんなあー日本酒造り・・・
    嫌になりますぅー
    お酒なんて。。。
    旨けりゃいいんだと。
    個性的なお酒ができればよいかと思うんだが。

  8. Masamune より:

    >れいさん
    造りで数値を無視するわけにもいかないでしょうが、飲むとき、特に呑むときには…
    「そんなもん、どっかへ追いやっちゃえ」のほうがずうっとおいしく呑めます。:-)
    事業として継続するためには、まず健全でなければいけませんから、
    なかなか思うようにできないことも多々あろうかと思います。
    採算を度外視しても構わないというなら…
    有り金を減らしたいという超贅沢な悩みを持つスポンサーをみつけるか、
    道楽でも差し支えないというくらい裕福じゃないと…。(^^;
    やりたいようにやるには、生半可ではない「覚悟」が要りますよ。:-)

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