華鳩 貴醸酒

近年、ほとんど見かけなくなった「貴醸酒」(製法はこちら)。おやぢも数年前に月桂冠「華月」を飲んで以来だ。
昨年、出先で見つけ、4ヶ月ほど室内に放っておいたこれを、古酒づいている流れに乗せられて開けてみた。
写真では量が少ないからさほどではないが、杯にたっぷり注ぐと赤味の弱い紅茶のようだ。
仕込水の代わりに酒を使うことを特徴とする貴醸酒は、その製法からしてエキス分が高くなる。ラベルに8年貯蔵とあるから、濃熟型長期熟成酒特有の香りを帯びているのも当然だ。
味わいも甘さたっぷり。長期熟成みりんにほんの少し日本酒を加え、柳陰にしたようなもの。
ちなみに、一応、純米。
燗をつけると、香りがもっと強くなり、収斂味を伴った酸を感じる。甘みも薄れず、普段はその甘さゆえ敬遠してしまう南瓜コロッケを抑え、まとった衣の脂をうまくするではないか。
椎茸のカサに和えた具を載せ、衣をつけて揚げたフライとも良い。
平安貴族は何を肴にこの酒を飲んでいたのだろうかと、俄歴史愛好家気取り。
ただ、かなりの甘さ。良くいえば濃厚、悪くいえば鈍重だから量はすすまない。
疲れている時、暑気あたりした時に1合から2合ほどを嗜む酒だろうか。
kijoshu.jpg
デスクトップにあるから机上酒!? :-p


醤油にも、原料の塩(実際にはそれを溶かした塩水)の代わりに醤油を用いる「再仕込み」(二度仕込みとも)と呼ばれる製法がある。
当然、光も透かさないほど色は濃くなるが、見た目ほどしょっぱくはない。むしろ予め熟した醤油を用いるから、速成で造られた醤油のように塩が立たない(塩っ気がきつくない)。その上、醤油としての旨みはたっぷり。
豊潤という言葉が相応しい醤油なので、機会があれば試してほしい。

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華鳩 貴醸酒” に対して2件のコメントがあります。

  1. こじこじ より:

    醤油にも、そのような製法のものがあったんですね。知りませんでした。。。本邦在住の頃は、はつかり醤油を愛用していましたが、帰国した際には再仕込みの醤油も探して試してみようと思います。味噌、塩、醤油など、基本調味料の味って、ものすごく大切だと思います。

  2. Masamune より:

    仰るとおりです。どんなにいい素材を選んでも、調味料がそれを台無しにしてしまっては、何にもなりませんから。
    同じ醸造製品。酒と同じで真っ当なものを選んでほしいと願っています。
    おやぢは、地元に「丸大豆二度仕込み」という、2〜3年かかる醤油を造っているところがありますから、それを使っております。
    全国的には小豆島に多くあるようで、たまたまこちらでこだわりを持つといわれる某食品スーパーで求めたものは、ヤマヒサという会社の「豆しょう(醤)」でした。
    普段は、そばつゆやタレ、割り下など、醤油の旨みを求められるものにおすすめしていますけど、豆しょうによれば、さしみ・かけ・つけ醤油としてそのまま。また、湯or水を1/3〜1/4加えるだけで塩分が10%程度になるから減塩醤油としても使えると記されています。これも、色・旨みともに濃い、再仕込み醤油ならではの用途かと。
    ビーフステーキなど外国でも好んで使われているとありますから、醤油を風味付けに使いたいときにも向くのでしょうね。
    ちなみに、原料には丸大豆100%と天日製塩。醸造年月3年半〜4年とあります。
    本物はどれも熟しが遅いようで。:-)

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