夕方だけでは「毎度、飲みに来ている」と云われそう(いや、実際そのとおりなのだが(^^;)なので、せっかくの造りの時期、翌朝の『蒸し』を見せていただくことに。
名前だけで探しては絶対見つからないだろう。名と体は大違いという宿で、昨晩あれほど飲んだというのに、すっきり快調な目覚め。さすが真っ当な燗酒。:-)
この宿に泊まる価値は朝食にこそある。焼き魚、豆腐、もやしと青菜の炒め、スクランブルエッグ&ベーコンなどに、この日は筋子が一切れ、で〜んと。
味の濃い味噌汁に炊きたてのササニシキ。これが普通の朝ご飯を見違えるものにしてくれるのだ。しょっぱい筋子でご飯をお代わり。
時間を見計らいながら前日の蔵に戻ると、既に濛々と蒸気が立ち上っている。
「もう少しですから」と声をかけられ、事務所で話を一くさり。
「さて、行きますか」。事務所を出ると、蔵中に蒸し米の甘い匂いが満ち、既に蔵人さんたちが放冷機からはき出される米を担いで小走りに動き回っている。
「最初に麹室に入れますから」。ご当主の後について甑へ。
新たな品種に変わった米をスコップで放冷機に放り込む若い蔵人さん。その足元に目をやると、いくら釜場とはいえ、凍てつく寒さにも関わらず素足だ。「家の伝統なんで」。
# ここで写真を入れたかったのだが、電池不足だったのか、せっかくの画が記録されていない。(泣)
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# 代わりに瓶燗(瓶火入れ)する槽を。しかも別の蔵のもの。m(__)m
ご当主が甑から蒸し米を取ってくださる。出羽燦々とのこと。噛むと外の硬さが際立つが、最良とされる『外硬内軟』の度合いは‥ 数をこなして体で覚えるしかないだろう。
米が変わる都度、放冷機が止まったり動いたり。杜氏さんがその吐き出し口で蒸しのチェックを繰り返す。甑の方も若手が二人がかりで、せっかくの米を無駄にしないよう、きちんとていねいに仕事をこなす。
一見、ただのルーティングワークのようだが、一人一人が自分の役割を正しく理解し、互いを気遣っているから、一連の流れはとてもスムースできれい。杜氏さんを筆頭に持ち場持ち場の分を尽くす。良いチームワークだ。
いつの間にか米の運ばれる方向が変わっていた。
事務所に戻り、ご当主が持ち倦ねていた書籍をほんの少し減らすお手伝いをして、お蔵を辞す。
外ではまた雪が舞いはじめていた。