かしましい夕餉
久しぶりにスネかじりたちが顔を揃え、包丁を持つ者、湯を沸かす者、ていねいすぎるハムの包装と格闘する者、台所でわいわいやっていた奴等を掻き分け、隅に放置している酒から『武蔵の里 純米原酒』を選び、いつもどおり冷やで味見。「ちょっとおとなしくなっちゃったかなぁ」と思いつつ、3分20秒の燗を。
『竹鶴 秘傳』に似た趣を持ちながら、それをやや軽くしたような『武蔵の里 純米原酒』は、鈍重さや諄さを感じさせない原酒で食事に合わせやすい。
鮪の赤身。トロばかりがもてはやされるが、鮪は赤身かそれをヅケにしたものが好み。鮪特有の風味も無難に受け止める。スモークサーモンのカルパッチョ風。やや脂の諄いサーモン、付け合わせのパプリカやオリーブ油の風味もさらりとこなし、豚ハツの塩コショー炒めの油を洗う。鮟鱇の辛子味噌和え。皮や軟骨のクニュクニュした食感を楽しみ、身は若干ぱさついているものの淡泊なうまみ。肝は酒飲みの王道だろう。醸造ものの組合せである酢味噌ときちんと合う酒が、悪い酒であろうはずがない。
飲んでいる間に、かしましいスネかじりたちもできあがったスパゲティとともに席に着くと、静かだった晩酌は途端に、ビールでさえオヤジの飲み物とされ、カクテル擬きが主流の居酒屋の一角となる。
「食べる?」と云われ、ご相伴に与ったが‥ 。旨味調味料が後味の悪い酒よろしく舌にまとわりつく。「この味付けは?」「○○○のだよ」と、某大手食品メーカーの名前を事も無げに口にする。「お前らなぁ‥‥」。
せっかく群馬泉吟醸粕のうまさを見抜く舌を持ちながら、何たることか。orz
酒と鮪の赤身の癖のある味で舌を洗うと、情けないはずなのにまた酒が進む。
「お代わり!! 黒いラベルの武蔵の里って酒をここまで入れて2分30秒!!」
スネかじりたちの口も情けないが、うまい酒と肴があると飲まずにいられない我が身も十分に情けない。orz
何だ燗だ(かんだ)言いながら、嬉しそうですぞ。
カミさんと合わせりゃ、両手両足に花ですから。:-)
お酌はないけど。:-p