ぶらり如月 -其之四-

新宿駅での乗り換えが億劫でタクシーに頼ってしまった。目指すは某駅近く。ここに薄酒から掬いあげてくれた恩人がいる。
車の入れない小さな商店街。平日の朝だというのに行き交う人でごった返す。うっかりすると見過ごしてしまう狭い店先に老婦人が立っている。
「あやぁ〜、まだ早過ぎたか」。田舎では考えられない悠長な開店時間。
待つこと暫し、主がご出勤。いつもの立ち話で酒談義が始まる。前夜の「M」の話をしているところへお内儀が。久しぶりとはいえ、仕事の邪魔をしに来たおやぢを温かく迎えてくれる。
その上、「いつも立ち話だから、そこでコーヒーでも」と、経験の浅いおやぢに臨時講義を拝聴する時間をいただいた。
好みは違っても志は同じ。滅多に聞けない生の話は、薄酒の地から日本全国を回る。
「いかん、次の約束が‥」。店に戻り、すぐに辞すつもりが、『秋鹿雄町80%精米無濾過生原酒』を巡って延長に突入する羽目に。もっとも、いくら延ばしても話が尽きるはずはないのだが‥。
今度こそ時間切れ。またの再会を約して駅へ向かう足を速めたのだった。


おかげで、またあらたな縁が生まれることになるかもしれない。
さんざん待たせた三平さんには申し訳ないけど、この恩人あってのおやぢなので、どうかご寛恕のほどを。m(__)m

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ぶらり如月 -其之四-” に対して1件のコメントがあります。

  1. マック次郎 より:

    恩人って・・・そうだったんですか!
    私も去年の初秋にお邪魔しましたが、平日昼過ぎにふらりとアポなしで訪問した私に、1時間近くもお話を聞かせて(もちろんその間に限りなく試飲をさせて)いただき、貴重な経験をさせていただきました。
    ちなみに、扱うお酒や味の傾向がほとんど同じお店が、大阪にもあります。
    来阪の際は、ぜひご紹介したいと思います。

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