燗粥酒 part 2

中国(≠China)とお江戸東部に唆されて手を出してしまった火入れのにごり第2弾。
『清酒竹鶴 純米にごり酒 16BY』。
手元の通常純米15BYが昨秋からやっと飲めるようになったことを考えると、「にごりとはいえ火入れの新酒がもう飲めるのだろうか?」という疑問は、いつもの冷や(常温)ジュルジュルで吹き飛んだ。
「おぉ〜、火入れなのに味がある!!」。おかしな表現だが、先の加藤杜氏といい石川杜氏といい、その手にかかった火入れ新酒が今から飲める酒になるはずがない。ご両人の澄み酒を見ていれば誰しもそう思うはずだから、これはうれしい裏切り行為だ。
残念ながら上澄みは後に苦が残る。これは致し方ないことだろう。如何せん若すぎるのだから。ただし、それが醪と混ざり合った途端、米の旨みをまとって一気呵成に攻め入ってくる。若さゆえの躍動。もっぱら練れた酒を好むおやぢでさえ、これも酒の楽しみ方の一つと思えてくるから不思議だ。
飛び切り燗まで上げ、飲み頃まで冷ます。いつもの手順で上澄みヴァージョン、にごりヴァージョン、二種の燗酒を。
この日の肴は、鮪赤身の刺身、焼餃子、茹でたホウレン草、水菜とワカメのサラダほか。
上澄みヴァージョンは竹鶴らしい旨みに変わった酸がドバッと押し寄せ、にごりヴァージョンはまさしく米の旨みたっぷりのお粥。ヨーグルトキャラメル様の香りがふっと鼻腔に戻ってくる。
旨みの多い酒に鮪赤身は役不足。口直しがせいぜいだったが、餃子の脂とニンニクの甘みをも包みこんでしまう力強さ。これならと、ホウレン草にはマヨネーズを。「くくく」。思わず笑ってしまう。ポテトサラダがあれば…。いやいや、それは危険だ。飲みすぎること間違いなしだから。
このにごりも米の飯を食べたくなる酒。一合半ほどの燗酒を2本空けた上に、鮭の味噌漬けをおかずにミニ丼といえるサイズの飯椀一杯を食べてしまった。
「毎晩、にごりを飲んでいたら、確実に太ってしまうだろうなぁ」。そう思いつつも間もなく来るであろう第3弾が待ち遠しいおやぢだった。


実は…にごり酒は得手ではない。
子どもの頃から甘酒はもっぱら酒粕仕立て。麹のものはあの米粒の感触だけで忌避していたし、長じて酒を飲むようになってからも、麹臭さともいえるにごり酒特有の米の風味が酒の味を損ねるように思い、ひたすら澄み酒のみを愛飲してきた。
『秋鹿 純米吟醸 霙もよう』に出会った時でさえ、こういう辛口ですっきりキレるにごりもたまには良いかと思いつつ、自分から手を出そうとはしなかった。
それが、part 1の『生もとのどぶ』、今回の『清酒竹鶴 純米にごり酒』で、いやはやこういう楽しみもあったのねと、目から鱗。
随分もったいないことをしてきたものだ。見過ごしてきたにごり酒、かむば〜っく!!

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