東奔西走 -其之四-
細かな雨が降り続く中、讃岐平野から山手に移ったところにある某蔵元に着く。
この縁を求めて四国へ渡ったようなもの。
他の同道者は何度か訪ねている様子で、蔵に入るなりきき酒の準備が始められる。
甑は倒れたというもの、皆造はまだ先。何本かはタンクから汲まなければならない。蔵元自ら梯子をかけ、発酵中の醪を柄杓で汲んでくれた。
狭い検査室には全員が入りきらないし、こちらは初めてということで蔵内を案内される。
まずは釜場。和釜はともかく、甑が今どき木製なんて…。(・。・)
米かけは見慣れた群馬式。あの『群馬泉』の島岡酒造で生み出された方式だ。
「今季は7〜8種類の米を使い分けて仕込みました」「タンクの容量に対して、物量が少なすぎてもダメだし、多すぎてもダメ。ウチのタンクだと、総米で1tonと600kgの仕込みがちょうどいいんです」「冷蔵庫も出荷時期により3つの温度を使い分けてますよ」。1階部分を回りながら持論を語ってもらう。
続いて二階へ上がり、麹室から。「蓋はあるけど使っていません。箱しかよう使えんのですよ」。次が「これをやるから午前中の仕事が押すんです」と指差すのは、蒸米を枯らす道具。
「掛米もこれでしめてから使います」「米に手を入れますから皮膚がボロボロになってしまうんですわ。まさに血と汗の味でしょうね」「人がやっても機械がやっても変わらないものは機械化しますが、人にしかできないことには、きちんと手間をかけないと…」。
後でも感じたが、この蔵元、理路整然、かつ、ご自分の造りに絶対的な自信を持っている様子。他の蔵に関しても、普通はなかなか言えないことまでポンポン言ってのけ、口の悪いおやぢでさえ度肝を抜かれてしまった。
そして、いよいよきき酒。今季27本の仕込みを21本にまとめた、そのすべての酒をきく。
緊張しつつ、次々にきき猪口を口に運び、短いながらコメントを。当然、意にそぐわないものもあるから、それはチェックしただけでスルー。
いくつか気になるものがあり、終わった後、蔵元から解説してもらう。「ふむふむ」「へぇ〜!? これが」。先ほどスルーした酒は、出品用大吟醸だった。(^^;
酵母は、一部を除き、ほぼ熊本酵母。熟度の差や原料米・精米歩合の違いにより、得心がいくもの、いかないもの、さまざま。最後の決め手は売値とつり合うかだが、初めてだけにこれが不明。
蔵を辞す前に価格を聞き出したが、なかなか難しい酒。大きな宿題を与えられた気分。はてさて…。
ここ、「火入れの原酒もあるよ」と聞かされていたけれど、「現在は無濾過生が主体。火入れ原酒は熟成させる上のクラスだけ」と。orz
燗しても生老ねが目立たない(生酒嫌いのおやぢでも許容できるレベル)からいいけど、戸惑いは拭いきれないまま。うぅ〜、まいった。
讃岐といえば、こちら大阪のとある酒屋さんでは去年、うどんと酒蔵めぐりツアー(酒屋さんの趣味で、うどんの方がまわる軒数が多いらしい)がありましたが、あいにく私は不参加で、ここも行きそびれました。
でも最近は、無濾過生原酒が体にきつく、1年近く味わっていませんね・・・ここのお酒は。
昔は苦手にしていた原酒ですが、今は、イヤな生臭さえなければ結構好きですよ。
ただし、熟成不足なのは論外。割水燗にしてもダメですか?
生原酒でも、最近はキレの良いお酒をよくいただくので、特に抵抗はありません。ただし今は体調が本調子でないので、割り水燗にしないと体にきついですが・・・。
ここのお酒、大阪の酒屋さんでも色々味わえるので、こんど久しぶりに味わいに行きたいと思います。
生酒でも生臭や燗をつけたときに生老ねが出なければ許容できるようになりました。
ここのも徹底的に遅い酒ですね。その晩飲んだ酒、一番若くて14BYでしたから。
きちんと寝かせて売っている酒屋さんから買わないと、本来の味を楽しめないと思います。
そうそう、火入れは来月末まで待たなければならないようです。(T_T)