煮生酒
■呑録(旧暦4/24)
皐月の締め括りを何にするか…。しばし迷うも、しんどい月末日を終え、強い酒が欲しくなったし、生だから変わり目も早いだろうとこれを。
『小笹屋竹鶴 宿根雄町 生15BY』
栓を開け、香りを嗅ぐと、生老ねを練れかけた強いアルコールの香りがマスクしはじめている。含んでも同様。山場を越えたかな。そう思わせるのは、こちらの生老ねに対する許容範囲がいくらか広がったこともあるかもしれないが、それを広げたのも竹鶴ならではの強靱さがあってこそだろう。
この時点ですでに喜んでいたが、意を決してレンジで3分30秒の燗をつけた後、もっと喜んだ。生酒の片鱗はわずかに残るが、宿根の15BYがもう飲めるなんて…。
もちろん、完熟11BYと比べるべきではない。あの風格は、時の流れがあってこその代物であって、1年そこそこの若僧に真似できるものではないが、逆に15BYならではの若々しさは今でしか味わえないものだ。
鰹。おぉ、今日は刺身だ。出来合いのまずいタタキよりずっと良いぞ。うぅ〜、うまぁ〜。おやおや、鯖の塩焼きまであるではないか。小振りなところを見ると…。やはり。輸入物の下卑た脂臭さはない。これぞ、焼き鯖の味だよ。昨日と同じセリの煮染め。たっぷり作ったと見え、当分続くことだろう。茹でたグリーンアスパラは、格好の口直し。
一升瓶も、徳利も空いた。定量で十分な満足感。明日から水無月かぁ、早いなぁ。酒のおかげか終わった月への労いはそこそこに、新しい月に思いを馳せた夜だった。
12BYの番外編と、どちらにしようか迷ったが、この味に出会えたんだから正解だろう。
二日続けて熟成酒を飲んだ後だから、余計に新鮮に映ったにしろ。
生老ねって消えにくいけど、あそこの酒は消えるよね、熟成で。今日も大魔人と話していました。どうも、あの酸は6号?酵母だけが原因ではなく、ほかにやはり何かが棲みついている模様。
一人で蔵にいると、時々感じるそうです。「あ、なんかいる」って。悪さするんじゃないからいいじゃんって言うと、「他所の蔵なら悪さって言われる」だって。言われればそういう事いう蔵は多いよね。
消えるといっても、生老ねそのものは消えはしませんから、他の香味にマスクされ、気にならなくなるということですけどね。
しかし、例の酵母、変種ではなかったんですか?それプラスアルファの憑きもの。
政孝氏が実家を訪ねられた折にくっついてきたウイスキー用の酵母が居着いちゃったとか。(^^;
「悪さする」と嫌う蔵あり、「それも味の内」と取り込んでしまう蔵あり。
竹鶴家+大魔人のコラボは、酵母に人も食わせちゃう?(笑)
やはり、そこにいる人の心、だと思うのですよ、最近。
家付き酵母が、そこにいる人の心を写すのではないかと、最近思ってます。
いくら酵母を添加したって、それ以外にも醪の中には入るわけだから、そこにいる人が酒の味をかなり左右するんではないでしょうか。
確かに理論だけじゃ説明できないことがありますからね。
此度は2箇所ほど、おやぢ菌をばらまいてきました。(^^;