夏にごり -其之壱-
例年になく朝晩だけは涼しかったが、文月も終わるという頃になって寝苦しい夜がやってきた。
これが江戸っ子なら、井戸でキリッと冷やした柳陰をくっと呷って、「これが夏でぇい」と鯔背な啖呵を切るのだろうが、生憎、こちとらぁ、生まれも育ちも鄙の隅っこ。賤しさだけが取り柄の呑兵衛らてば。(^^;;
『鯉川 純米吟醸にごり酒<五百万石50%> 16BY 瓶燗火入れ』
別名、『鉄人にごり』の4ヶ月常温放置もの、ただし、未開栓。orz
醪の量が物足りないと駄々を捏ねたが、早春から盛夏へ、季節の移ろいとともに六、七分の咲き具合。あとにわずかに残る苦を気にしなければ、今でも十分な見頃といえるだろう。
足りない分を補おうと、熱燗(50℃近辺)超にしてから冷ます。
「わぁお!! 満開だぜ!!」。花も恥じらう可憐な乙女が、衆目を惹きつけて止まぬ淑女に…。
お座敷なら、襟替えの申し入れ殺到で屋形のお母さんはうれしい悲鳴、といったところか。
冬瓜(夏なのにねぇ)・蕪菁・丸茄子・こうや豆腐の煮物。冷たい冬瓜が熱を取ってくれるかのよう。こうや豆腐を噛むと、出汁がじゅっと広がる。真鯵の干物。下卑た脂臭さがなく、鰺のうまみがしっかり出ている。胡瓜と茗荷にはすのもの酢をかけ回し、サラダ代わりにパクつく。浅漬かりの茄子の芯は、生茄子の甘みたっぷり。この手のものとの相性は申し分なし。
バクライもひと舐め。にごりならではのうま味が癖のある珍味も難なくこなす。
地元にもこういう五百万石の酒があればなぁ…。
扶桑鶴の高津川のような味も良いけど、さすが50%の純吟。押しつけがましい強さはないものの、にごりならではの厚みのあるうま味。それも、出すべきうまさはきちんと出し、かつきれい。そう、含みに加え、仕舞いの切れ上がりにも品の良さがあるのだ。
「いやぁ〜、うまい。うますぎて困る」。だって、飲み過ぎちゃうよぉ、これ。
その日からさっそく開栓常温放置。
これが秋まで熟したら、後れ毛に見る人妻の色気、てな具合になってくれるのだろうか。
「ふぅ〜」。飲み終えると溜息の洩れた夜だった。
扶桑鶴高津川。今あたしんとこにある酒で一番呑める酒の一つです。一番呑めるとは呑みあきしなく量を呑めるということ。鯉川美山も双璧の一つ。後に天穏純米改良雄町、奥播磨山廃、鯉川五百万石、綾花などが続きます。SM生もとも良いけれどいかんせんまだ若すぎてあと半年もすればというところ。旨い酒が揃うというのも考えもんで、飲み過ぎにご注意ですね。
>とりしやさん
飲み頃がたくさんあるゆえの贅沢な悩みですねぇ。
奥播磨山廃15BYでしょ?来年になる(そちらの夏を越える)ともっとうまくなりますよ。
あれの袋吊り斗瓶取り原酒も楽しみにしている一本ですし、16BY生原酒がまた良いんです。:-)
人妻にごりか・・・
試してみたいが、現物がない!
皆さん、物持ちが良いのですね。
>Tankさん
狼亭さん応接、お疲れさまでした。
8/28用に供出してさしあげたいけど…。惚れ込まれちゃうと、また手間をおかけするることになるし…。
ビミョウ〜。(-.-;
>タンクさん
なんだったら9/11に里帰りの鉄人お持ちしますか?
赤道を二回越えた鉄人はおろか、酒なんてない鴨。
帰りはチーズと若干の土産しか荷物ありませんから。
ところで話は違いますが横山光輝自筆の鉄人28号の絵(サイン入り)がオークションに出ています。興味ありましたらアドレスお知らせします。
アドレス聞いて、富樫監督と相談してみます。
出張で返事遅れてすみません。赤道2回も
興味ありますが、本日、社員からうれしい報告が
ありました。「社長のさがしてた、鉄人にごりの
ごみはじき、3本ありましたよ第3冷蔵庫に。」
行ってみたらありました!うれしいー!!
よし、やるぞ放置!
>タンクさん
残念ながらあれは月曜に?15000で落札されました。
ただ他にもたまに出品されてるようですので、ヤフーオークションの美術品をクリックしてみて下さい。
にごりのごみはじき。あって良かったですね。