良い酒って‥
ここ数日、人間ディスポーザ化しなければならなかった不味酒は論外として、悩んでいる酒がある。
今少しの熟成がほしい感はあるものの、9号酵母できっちり味を出す造り。+11とは思えぬボディ。捌けも良く、55%ならではのキレもある。なのに‥
すべてのつり合いが取れ、欠点が見つからない「珠」のような酒。突き詰めていくと、最良の酒とはこうなると思っていた頃がある。当時は良いツテがあって、たびたび好例となるサンプルを入手できたからだが、それらに出会うたびに「きれいさ」のすごさをまざまざと見せつけられたものだ。
あれほどの引き出しを持つ蔵がその威信をかけ、コストに囚われない造りをするのだから当然とも云えるが、そこはそれ、酒は生き物。狙いどおりの味を造り出すことの難しさは、おやぢが敢えて云うまでもないだろう。それをきちっと成し遂げてしまうことに畏怖さえ覚えたものだ。
翻って今、素性の良さは相も変わらず重要かつ基本中の基本だが、良く云えば「珠」悪く云えば「優等生」で取り柄たるのかという疑念がつきまとう。
人が何かに惹かれる時、そこには驚きを伴った感動があるはず。さらに進めば衝撃すら覚えるに違いない。酒のみならず単なる工業製品との差は、その感動の有無にあるのではなかろうか。
モノから伝わる造(作、あるいは創)り手の「志」「顔」が見えてこそ、心躍らせるひとときの幕が開く。
冒頭の酒は開栓三日。素性の良さは明らかなものの、残念ながらおやぢには未だにその顔が見えてこない‥。
言い訳になるかもしれないが、この酒を貶すつもりは毛頭ない。きき酒能力に劣る故、判断に窮しているだけなのだから。
いずれその全容を表してくれるものと、期待を込めて放置することにした。
結果はいずれまた。
試した量が、サンプリング数が増えたからじゃない?
妙に人当たりの良い優等生よりも、一癖も二癖もある酒に惹かれるようになったからでしょうね。
その蔵独特の味、蔵の顔を求めてしまうのですよ。
酒は鏡。などと言ってみたり。
おぉ、言い得て妙ですな。( ^o^)ノ◇ ザブトン3マイ 🙂