■呑録(旧暦2/22)
酒縁のおかげで急遽決まった追加公演。この日の主役は…
『清酒竹鶴 雄町純米にごり酒 16BY』
そう、「原爆にごり」の異名を持ち、市場にはごくわずかしか出回らなかったレアもの。
横臥状態で届いたからなかなか澱が下がらないが、上澄みと分けたとしてもpart 1からpart 3までの結果と大差ないはずと類推。それよりも何よりも「早く飲みたい!!」酒飲みの意地汚さに勝るものはなし。「いっそ…」と、びんを徹底的に振った。生なら確実に天井まで噴きあげただろうが、火入れのにごりはその点も楽だ。
徳利に注いで3分10秒煮る。その間に冷やをジュルジュル。「うへ〜、なんだ、この強さは!?」。これゆえの「原爆にごり」か。ラベルを確かめると『アルコール分17度以上18度未満』。「てことは、原酒かぁ、これ」。
そうこうしている間に燗がついた。徳利の口から湯気が上がる。煮にごり酒。
ヨーグルトのような酸っぱさや雄町由来の甘み、竹鶴らしい図太い酸に原酒の押し。これでもかとばかりに味の津波が押し寄せてくる。マグニチュードはスマトラ沖地震以上か。
ピカドンじゃないが、これはやっぱり原爆だ。とんかつも何のその、牡蛎の豆乳鍋は朝飯前、鮪の赤身なんぞきちんとヅケにしなければ太刀打ちできない。クリームシチューも平気でこなすが、この辺りから満腹状態なのに、締めの煮込みうどんまで一気呵成にすすり込ませてしまう。
「今年のにごりはどれもこれも喰い気を煽ってくれるわ」と、腹をさする夜だった。